2023-05-11 政治・国際

米議員の「TSMCを爆破」発言が中国SNSで拡散 呉外相「認知作戦」/台湾

注目ポイント

米国のセス・モールトン下院議員が米シンクタンクの国際会議で、半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)を「爆破する」と発言した部分を切り取った動画が中国の動画投稿アプリ「抖音」(TikTok)で拡散され、台湾の複数のメディアもこれを報じている。

メディアの取材に応じる呉釗燮外交部長(中央手前)

(台北中央社)米国のセス・モールトン下院議員が米シンクタンクの国際会議で、半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)を「爆破する」と発言した部分を切り取った動画が中国の動画投稿アプリ「抖音」(TikTok)で拡散され、台湾の複数のメディアもこれを報じている。呉釗燮(ごしょうしょう)外交部長(外相)は10日、一部メディアは関係のない話を記事に盛り込むことで印象を操作していると指摘し、中国が台湾に対して行っている「認知作戦」だとの見解を示した。

発言は2日、米シンクタンク、ミルケン研究所主催の国際会議でのパネルセッションで行われた。モールトン氏は「抑止のための興味深いアイデアの一つは、中国に対し『台湾に侵攻すればTSMCを爆破する』と明確に伝えることだ」と述べた。その上で、この話題を出したのは「これが最善の戦略だからではなく、一つの例だからだ。もちろん台湾人はこのアイデアを好ましく思わないだろう」と付け加えた。これに関し、アプリ上では「TSMCを爆破」の部分のみが切り取られて投稿され、一部メディアでは過去に米国の政治家が行った同様の発言がまとめて報じられた。

呉氏は立法院(国会)外交・国防委員会への出席前に報道陣の取材に応じ、これは中国の「認知作戦」だと述べた上で、一部メディアは関係のない話を一緒に盛り込んで一つのニュースにし、米国の多くの人が「TSMCを爆破する」との考え方を支持しているような印象を与えていると批判した。

(呉昇鴻/編集:名切千絵)

 

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