注目ポイント
国際空港つながりで成田市と桃園市、港つながりで広島県呉市と基隆市などの姉妹都市、京都大学と台湾大学などの姉妹校、日台間には様々な姉妹縁組があるが、実は鉄道にも姉妹協定がある。姉妹駅、姉妹車両(蒸気機関車)、姉妹路線、友好協定など、活発な交流が行われている。日本の鉄道駅と同名の駅は台湾以外ほとんど見ない。
三重駅、松山駅、板橋駅は日本にも台湾にもある
日本占拠時代につけられた駅名のうち、今でもそのまま同じ漢字が使われている駅名は台湾全土に32駅ある。岡山、汐止、豊原、瑞穂、板橋、松山などがその代表で、台湾鉄道南回り線(枋寮—台東)以外の全線に存在する。一番多いのは台東線の7駅で、豊田、池上、南平駅などがある。宜蘭線には大里、亀山、中里駅、縦貫線海周りには大山、日南、清水、追分駅など、同名駅は枚挙に暇がない。
最近10年間で9組の駅が姉妹協定を結んでいる。駅の名前が同じであるだけではなく、それぞれに共通点がある。2014年に海沿いの路線として姉妹協定を結んだ広島県亀山駅と台湾の亀山駅、山間の終着駅という共通点は鳥取の若桜駅と内湾駅、日本を代表する建築家が設計したという共通点は東京駅と新竹駅、ともに社会経済の中心地であるという自負で2015年に姉妹協定を結んだのは台北駅と大阪駅である。
鉄道路線同士でつながる絆
鉄道路線が開業した年や、汽車が走る路線の景色、環境の類似、中心街の産業の類似など様々な共通点や理由で姉妹協定を締結する路線もある。筆者が数えたところ路線姉妹協定は12であった。
「スラムダンク」の聖地となった鎌倉高校前の七里ヶ浜踏み切りがあり湘南海岸を走る江ノ島電鉄と軒先をかすめてレトロな街中を走る平渓線、岩手県盛岡市の銀河鉄道と台鉄山線(造橋駅から成功駅)はその営業距離や沿線の駅数などが似ていることで姉妹協定を締結。蘇澳線と銚子電鉄はともに首都から約2時間の距離にあり、太平洋に面した小さな町であり、銚子の温泉、蘇澳の冷泉が有名であるという共通点がある。

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また、台鉄と近鉄、台鉄と信濃鉄道などのように8つの友好協定も締結されている。
珍しい姉妹協定として蒸気機関車姉妹協定がふたつある。ひとつは「台鉄CT273及びJR西日本C571型蒸気機関車姉妹協定」と呼ばれているもの、もう一つは「台鉄CK124及びJR北海道C11型蒸気機関車姉妹協定」で、製造年や総合走行距離、観光SLとしての役割など共通点がある。

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色々な特典やイベントも
これらの姉妹駅や鉄道路線では相互記念イベントや観光客招待サービスなどを行っている。例えば台湾の駅で往復乗車券を買った人に、姉妹協定を結んでいる日本の鉄道の乗車券を無料で贈呈したり、一日周遊券と交換したりするサービスである。開業100周年を記念して記念切符を発売しているところもある。


今年はアフターコロナ。日台双方、観光客の回復を見込んでイベントやサービスなどの準備が活発に動き出した。鉄道もしかり。今年10月に台中の日南駅開業101年を迎えるにあたり、宮崎の日南駅は10組目の同名駅姉妹協定締結に意欲を見せている。ちなみに台中の日南駅は「縦貫線海周り五宝」と呼ばれており、日本占拠時代に作られた木造建築駅舎で今でも現役の駅として利用されている。去年100周年を迎えた。