注目ポイント
「日本の高校生の進学先として、台湾の大学は素晴らしい選択の一つとなる」と考えた元大阪府立高校長の筆者が、「台湾進学ゼミ」(大阪市阿倍野区)を立ち上げたのは2018年のこと。ゼミの使命は、入塾した高校生に1年間で一定水準の標準中国語を習得させ、そして台湾の一流大学に合格させることである。指導法やカリキュラム、教材まで手づくりで立ち上げたゼミ黎明期の苦心惨憺の数々。第3回はコロナ禍を逆手にオンラインレッスンを充実させた躍進の日々。
教室、自宅、遠隔地生が共に「ハイブリッドレッスン」
2019年に本格始動した「台湾進学ゼミ」(大阪市阿倍野区)だが、皆さんご承知の通り、その翌2020年から3年間、世界はコロナ禍に翻弄された。わが台湾進学ゼミももちろん同様で、一時は教室での対面授業は不可に。しかしその逆境を跳ね返して大きくプラスにしたことがある。それはオンラインレッスンを進化させたことである。この3年間、ZoomとGoogle MeetなどのWeb会議ツールを活用してオンラインミーティングやオンライン説明会を実施することに世界中の人たちが少しずつ慣れてきていた。わだ台湾進学ゼミでも、台湾の大学のオンライン説明会を毎年10数校に実施してもらっていた。私たちは、この方法に独自の工夫を加え、2021年に日常の授業に導入したのだ。

どんな工夫をこらしたのか。
それは、対面授業再開後に教室で勉強している学生と、コロナ罹患や濃厚接触などで自宅待機している学生、さらに遠方から受講を希望する学生の3種類の学生に対し、オンラインシステムを使って「ともに受講してもらう」という方式の確立であった。
つまり教室の前後にモニターとビデオカメラを設置し、教室の通常授業に自宅から参加するという方法である。教室生と自宅生が一緒に授業参加するという意味で、私たちはこれを「ハイブリッドレッスン」と名付けた。
自宅生は、教室全体の様子と教材をパソコンで見ながら、教室生とともに学習するのである。もちろん音声も聞こえるし発言もできる。教室生は、前面のモニターで遠方の自宅生の顔を見ながら、講師の授業を一緒に受講するのである。


遠隔地生らも名門大学へ、実績続々
「ハイブリッドレッスン」(オンラインコース)に最初に参加してくれたのは、愛知県のある進学高校に通う3年生の女子であった。彼女は2021年5月からの約1年間で1200時間のレッスンをオンラインで受講し、台湾の名門「国立清華大学」にめでたく進学していった。その彼女が残していったくれた合格体験記をご紹介しよう。
「私は昨(2021)年の5月ごろに台湾への進学を考え始めましたが、中国語の知識は全くなく、一浪をする覚悟で台湾進学ゼミに入塾させていただきました。しかし授業はとても分かりやすく、生徒が楽しんで学べるような工夫がされており、毎日意欲的に勉強に励むことができました。大阪の校舎から離れた愛知県に住んでいるのでリモートでの参加でしたが、先生の配慮やサポートのおかげで他の生徒と同じように学ぶことができ、着々と力をつけ、台湾中級レベル3取得や、大学オンライン面接に自信を持って挑むことができました。そしてこの度清華大学に合格することができ、本当に感謝しかありません。今後も大学入学まで先生方の元で努力し続けたいと思います。」