2023-04-30 経済

スイスのZ世代、転職に求めるものは?

注目ポイント

スイスでは、転職活動者が増加の一途をたどっている。空前の労働力不足により、求職者と企業の立場は逆転。売り手市場を追い風に、転職を重ねる若者の事情を追った。

キャフォン氏は「3年以上先のキャリアまで見通している若年層はまれだ」とし、「若者の仕事に対する意識は、消費者目線に近い。自分が会社にどう貢献できるかよりも、その仕事から何を得られるかを考えている」と説明。生涯で経験する職場の数を予想した調査では、50代の働き手が5~6カ所と答えたのに対し、Z世代では15カ所前後に上ったという。

「Z世代は、自由な勤務時間や在宅勤務、ワークライフバランスを優先する。この世代の働き手にとって最も重要なのは、プロジェクトの実行に学びが伴うこと。自分たちの仕事を通じて、世界にポジティブな影響を与えたいと考えている」(キャフォン氏)

従業員の引き止めも課題

他社からの勧誘が絶えない従業員をどう引き止めるかも、企業にのしかかる難題だ。ジュネーブのホスティングサービス会社アンフォマニアック(Infomaniak)は、競争の激しいIT開発分野で活躍。「GAFA」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に匹敵する多様なサービスを提供しており、これら巨大IT企業に対抗し得る数少ないスイス企業として一目置かれる存在だ。

ボリス・ジーゲンタラー最高戦略責任者(CSO)は「入社して間もないソフトウェア開発者が、カリフォルニアに本社を置く企業に引き抜かれてパリの職場へ転職した」と振り返る。「米企業の待遇は、17万フラン(約2500万円)相当の株式と、我が社よりも2割増しの給与。更には無料の食事など、こうした企業で定番の福利厚生一式も用意されていた。我々は従業員数200人の中小企業で、そのような条件には対抗できない」

社員の忠誠を勝ち取るにあたり、同社は社風を第一の支柱としている。国内の雇用維持を保証し、持続可能な開発を前面に押し出している。できる限り上下関係のないフラットな職場を目指している。

資本金の半分を社員の所有とするプロジェクトも立ち上げた。従業員が会社の株主となり、事業の収益から還元を受けられる仕組みだ。「応募者は、我が社の価値観を最も重視しているようだ。入社の決め手としては、給与よりも大事な要素となっている」(ジーゲンタラー氏)

 

この記事は「SWI swissinfo.ch 日本語版」の許可を得て掲載しております。

 

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