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「2つの中国」という立場の蔡英文政権を支持し、中国本土で展開する台湾企業への中国政府の締め付けが強硬さを増している。 中国国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官は、先週の記者会見で「中国本土でカネを稼ぎ、そのカネを台湾独立派に献金するような企業を絶対許さない」と語気を強めた。この警告は、中国当局が先週、台湾のコングロマリット「遠東集団(ファーイースタングループ)」に環境保護や労働法、消防法、納税などあらゆる分野で違反があったとして、計4億7400万元(約85億円)の罰金を科したことを受けてのものだった。
「2つの中国」という立場の蔡英文政権を支持し、中国本土で展開する台湾企業への中国政府の締め付けが強硬さを増している。
中国国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官は、先週の記者会見で「中国本土でカネを稼ぎ、そのカネを台湾独立派に献金するような企業を絶対許さない」と語気を強めた。この警告は、中国当局が先週、台湾のコングロマリット「遠東集団(ファーイースタングループ)」に環境保護や労働法、消防法、納税などあらゆる分野で違反があったとして、計4億7400万元(約85億円)の罰金を科したことを受けてのものだった。
遠東集団は高級百貨店の運営や紡績業など、240数社から構成される台湾最大級の企業体で、総資産は9兆6000億円に上る。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、同集団は過去3回の総選挙で、与党・民主進歩党と最大野党で中国寄りの中国国民党(国民党)の両党に対し、企業として最大の選挙資金を提供している。
同紙は、中国が台湾に対し経済的かつ軍事的圧力を徐々に強める中、台湾を代表する企業の一つ、遠東集団が狙い撃ちされたことで、中国本土で働く120万人全ての台湾人にとって厳しい状況になったと分析。民主進歩党系シンクタンク「ネクストジェン」の陳冠廷代表は、同紙に「中国本土でビジネスを展開する台湾企業に対する中国による制裁として、これまでで最も重要な事例」だと指摘。「こういった台湾企業は中国が台湾を攻撃するための政治的武器になるリスクを負っている」と続けた。
実際、中国政府は先月、本土での経済活動禁止を命じる“強硬な台湾独立派企業”のブラックリストを公表すると警告したと同時に、遠東集団のグループ企業から政治献金を受け取った蘇貞昌・台湾行政院長(首相に相当)ら著名政治家3人に対する制裁措置を決めた。これは「台湾独立分子」と認定した台湾側の人物に対し、生涯にわたり刑事責任を追及するというものだ。
さらに中国は、蔡英文総裁に近い企業への締め付けも一層エスカレートさせると警告。そうすることで台湾世論を反・民主進歩党に誘導するよう画策。また、中国はすでにいつくかの台湾メディアを取り込んでいるとされ、蔡政権を陥れる情報工作を行っているとフィナンシャル紙は伝えている。
そんな中、巨額の罰金を科せられた遠東集団の徐旭東会長(80)は今週、台湾紙・聯合報に公開レターを送った。その中で徐氏は、台湾を取り巻く現在の政治環境下、中国に投資する台湾企業の中には「不必要なある種の罪悪感」があるとの見方を紹介。