2023-04-28 政治・国際

「台湾有事は日本有事」に「荒唐無稽」「日本の民衆は火中に連れ込まれる」とけん制 呉江浩・駐日中国大使会見

© 着任後初の記者会見に臨んだ呉江浩駐日中国大使=2023年4月28日、東京・内幸町の日本記者クラブで(吉村剛史撮影)

注目ポイント

中国の呉江浩駐日大使は28日、東京・内幸町の日本記者クラブで会見し、現在の日中関係について「重大な岐路に立つ」との認識を示したうえで、「いわゆる『台湾有事は日本有事』という見方は荒唐無稽」「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」などとけん制。あらためて台湾問題で「平和統一を求めるが武力行使の放棄を約束しない」と強調した。

今年3月に着任した中国の呉江浩駐日大使は28日、東京・内幸町の日本記者クラブで会見し、現在の日中関係について「重大な岐路に立つ」との認識を示したうえで、「いわゆる『台湾有事は日本有事』という見方は荒唐無稽」「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」などとけん制。あらためて台湾問題で「平和統一を求めるが武力行使の放棄を約束しない」と強調した。

着任後初の記者会見に臨んだ呉江浩駐日中国大使=2023年4月28日、東京・内幸町の日本記者クラブで(吉村剛史撮影)

呉氏は湖南省出身で経済学修士。上海外国語学院(現上海外国語大学)で日本語を学び、1988年から外交官としてキャリアを重ね、1993~98年、2002~08年に日本で勤務。その後駐スリランカ大使、アジア局長、外務次官補など歴任した。

着任後初の記者会見に臨んだ呉江浩駐日中国大使=2023年4月28日、東京・内幸町の日本記者クラブで(吉村剛史撮影)

今回は今年3月の駐日大使着任後初の会見で、呉氏は「中国の外交政策と中日関係」と題して日本語でスピーチ。日本と中国は昨年の日中国交正常化50周年に続き、今年は日中平和友好条約締結45周年だが、日中関係について「重大な岐路に立っている」との認識を示し、「(1972年の日中)国交正常化以来最も複雑な状況に直面」している、などと指摘。

中国への圧力を強める米国が「他国を引っ張り込んで強引に中国を封じ込めようとしている」「このことが中日関係に影響を与える最大の外的要因」として、日本が米国と足並みを揃えることをけん制するとともに、日中関係の礎と位置付けられる「4つの政治文書」や「互恵協力と友好往来」の重要性をあげた。

呉江浩駐日中国大使の揮ごう=2023年4月28日、東京・内幸町の日本記者クラブで(吉村剛史撮影)

特に台湾問題に関しては、「中国の核心的利益、中日関係の基礎の基礎、越えてはならないレッドライン」「台湾は中国の台湾であり、台湾問題をどんな形で解決するかは完全に中国の内政であり、いかなる外部勢力も干渉する権利はない」と述べたうえで、「平和統一を求める。しかし武力行使の放棄を約束することはしない」「武力行使を放棄しないことはまさに『台湾独立』に対する根本的な抑止力」と述べ、習近平政権の強硬姿勢を正当化。

「『台湾有事は日本有事』という言い方は荒唐無稽で、中国の純内政問題を日本の安全保障と結び付けることは非論理的であるだけなく極めて有害」「日本の民衆が火中に連れ込まれることになる」と強い口調で警告した。

また質疑応答では、アステラス製薬の従業員が中国で拘束されている問題について問われ、「スパイ行為に関わるものであり、中国の主権侵害に関連する」「無実の人が拘束されたというような問題ではない」「反省すべきはスパイ行為をさせている人や機関」と主張。

着任後初の記者会見に臨んだ呉江浩駐日中国大使=2023年4月28日、東京・内幸町の日本記者クラブで(吉村剛史撮影)
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