2023-04-28 政治・国際

戦闘が激化するスーダン内戦の構図と背景 独裁政権崩壊めぐる国軍と準軍事組織の衝突

© Photo Credit: GettyImages スーダンのバシル元大統領

注目ポイント

アフリカ北東部スーダンで、国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の戦闘が始まって28日で2週間。双方は27日、この日で期限の停戦を72時間延長することに合意したことを発表した。だが、現地からの報道では首都ハルツームや周辺で衝突が起きている。邦人など在留外国人の多くは国外に脱出し、隣のチャドでは、少なくとも2万人のスーダン人が新たに難民となっている。スーダンで今何が起きているのかー。

スーダンで戦闘を続ける国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は27日、この日いっぱいまでが期限の停戦を72時間延長することに合意したとそれぞれ表明した。停戦期間は30日までとなる。

ロイター通信によると、双方が最初に合意した3日間の停戦期間中だった26日も、激しい戦闘がハルツームに隣接する都市オムドゥルマンなどで行われたことを確認。夜まで激しい銃撃戦と空爆の音が聞こえた。15日に戦闘が始まって以来、空爆と砲撃によって少なくとも512人が死亡、4200人近くが負傷したと報じられている。

米誌「ニューズウィーク」は今週、「スーダン情勢を理解するための5つの基礎知識」と題する特集記事を掲載。この内戦の構図は、ブルハン将軍の率いる軍事政権とRSFの衝突とされているが、もともと両者は対立していたわけではなかったとし、30年に渡るアル・バシル大統領による独裁体制の崩壊が転機になったと解説した。

国軍のブルハン将軍とRSFを率いるダガロ司令官は、バシル大統領を長く支えてきた。だが、同誌は、「経済状況の悪化にともない、2018年暮れから各地で抗議デモが拡大し、民主化を求める抗議活動が広がるなか、軍の一部がこれに呼応したことでバシル氏は失脚した。その指導者の1人がブルハンだった」とした。

一方、ダガロ氏率いるRSFは抗議デモに参加する市民を銃撃するなど、民主化に反対し続けたという。

対立するブルハン氏とダガロ氏は、19年4月のクーデターによりバシル氏が失脚した後、政権を分け合った。だが、21年10月の新たなクーデターで民主派が政権から追い出された後は、芽生えたように思えた民主化の気運を絶つものとなった。

両者の間の勢力で緊張が高まる中、コロナ禍により経済は悪化の一途をたどり、22年1月にはスーダンのインフレ率は260%に達した。続いて起きたロシアのウクライナ侵攻により、食料価格は暴騰し、市民生活をさらに圧迫。各地で抗議デモが頻発した。その結果、同誌は、「昨年12月、軍事政権は民主派との間で民主化に向けた新たな合意を結んだが、ほぼ有名無実のままだ」とし、「こうした反ブルハンの気運の高まりはRSFに蜂起を促す一因になった」と説明した。

一方、スーダンの国軍は26日、バシル氏が警察の監視下で軍の病院にいると明らかにした。バシル氏は19年の失脚後、コベル刑務所に拘留されていた。国軍によると、刑務所の医療担当者の勧告により、15日の内戦勃発前、軍病院に移送したとしている。

⎯  続きを読む  ⎯

あわせて読みたい