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バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプで再び火災が発生し、1万2000人の難民がホームレスとなった。2021年1月から2022年12月まで、ロヒンギャ難民キャンプでは222件の火災が発生し、そのうち60件は放火によるものだった。専門家は地域の乱雑な居住環境と燃えやすい住宅建材を改善してこそ、火災の発生を防ぐことができると呼びかけた。
バングラデシュ南東部の100万人を収容するロヒンギャ難民キャンプで、3月5日に火災が発生し、1万2000人の難民が避難した。現在、死傷者は報告されていないが、火災の原因は未だ不明である。
ロイター通信によると、火災はバングラデシュ南東部の都市コックスバザールのCamp 11で発生した。この地域は100万人以上のロヒンギャ難民を収容しており、そのほとんどが2017年にミャンマー軍政府の弾圧を逃れるために来た。この火災の発生は、難民たちを再びホームレスにした。
コックスバザールの副警察総長ラフィクル・イスラム氏はロイター通信に「私たちはまだ火災による損失を見積もることができないが、現在死傷者はいない」と語った。
またガーディアン紙によると、地元の警察ファルケ・アフメド氏は、火災の原因が未だ分かっていないと述べた。この火災により、少なくとも35のモスク、21の難民向け学習センター、約2,000のシェルターが焼失した。
6人の子供を持つ40歳の男性難民セリム・ウラ氏は当時、ロイター通信の取材に対し、「何も見えない、何もかもが焼けてしまい、多くの人がホームレスになっていて、この先どうなるのかも分からない。ビルマでは家屋が焼き払われて大変な思いをしたが、また同じようなことが起きている」と語った。
難民の宿泊施設は竹やキャンバス生地で作られており、燃えやすい素材と過密な生活環境から、今までにも頻繁に火災が発生しているとガーディアン紙は伝えている。また、ロヒンギャ難民の移動範囲を制限するため、キャンプの周囲には有刺鉄線フェンスが設置されており、災害時の避難経路が遮断され、外部からの人道物資も届きにくくなっている。
バングラデシュ防衛省の先月の報告によると、ロヒンギャ難民キャンプでは2021年1月から2022年12月の間に222件の火災が発生し、そのうち60件は人為的な放火によるものであった。2021年3月に発生した火災では15人が死亡し、5万人が避難した。
報道によると、国際救助委員会(International Rescue Committee)のアジア地域総監アドナン・ビン・ジュネイド氏は、直ちに火災の予防措置を講じなければならないと考えている。必要な対策としては、家屋間の安全距離を確保するための収容所の再建、発火装置の規制、収容所における火災予防と対応策の推進などが挙げらている。長期的には、火災発生時の避難計画、ボランティアの訓練、火災検知システムの確立、そしてロヒンギャ難民問題への国際的な再注目を呼びかける必要がある。
〈参考新聞〉