注目ポイント
中国当局による言論弾圧が、ここにきて一段と強まっている。中国政府は26日、消息不明になっていた台湾の出版社「八旗文化」の編集長・李延賀氏について、身柄を拘束し、国家の安全保障を損なう活動に関与した疑いで捜査していると発表した。また、中国共産党の有力紙・光明日報の元論説部副主任もスパイ罪で起訴されたことが25日判明した。中国では「反スパイ法」が改正され、定義を拡大し、摘発がさらに強化される。
また、捜査当局は董氏による日本大使館員や外国の大学との交流について調査しているとし、家族は「中国政府は日本大使館や外国人研究員をスパイ組織として扱っているかのようだ」と指摘した。
日本政府は昨年2月、董氏が身柄を拘束された際に大使館員も一時拘束されたことを受け、外交官に与えられる法的保護を定めた「外交関係に関するウィーン条約」に違反しているとして、中国側に抗議した。家族によれば、董氏は共産党員ではなかったものの、編集部の副編集長に就任していた。
一方、米CNNは25日、中国で昨年拘束されていた台湾独立派の政治家、楊智淵氏(33)が、国家分裂を図った容疑で正式に逮捕されたと報じた。中国の最高人民検察院が25日に発表したところによると、浙江省温州市の検察が国家安全当局の捜査結果を受け、国家分裂を図った容疑で逮捕を承認した。
楊氏は昨年8月、米国のペロシ下院議長が台湾訪問を終えた数時間後に温州市で拘束された。ペロシ氏の訪台に中国政府は激怒し、台湾周辺で大規模な軍事演習を展開してミサイルを発射するなど、台中間の緊張はさらに高まった。
中国の国営放送局、中央テレビ(CCTV)は当時、楊氏が国家分裂活動に参加して台湾独立を支持し、国家の安全を脅かしたために拘束されたと報道。同氏とされる男性が手錠をかけられ、携帯電話などの持ち物を調べられる場面を伝えた。CCTVはその後、楊氏が自宅軟禁状態に置かれたと報じていた。
台中双方の当局は、楊氏が当時中国を訪れていた理由を説明していない。拘束後の消息はこれまで不明のままだった。CNNによると、台湾の本土問題評議会は、中国当局への働き掛けを繰り返してきたが、直接の返答は得られていなかったという。
おすすめ記事:
・ASTROムンビンさんの死と韓流の闇 K-POPは若者を自殺に追いやるのか
・海洋廃棄物が集中する「太平洋ゴミベルト」 沿岸生物の棲家になり新たな生態系を形成