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まもなく「母の日」。台湾でも日本や多くの国と同じように、母の日にカーネーションを贈る文化がある。ただし、家族の結び付きが強い台湾では、花の贈り物だけにとどまらず、それがトラブルの元になることも……?
母の日にカーネーションを贈る文化は20世紀初頭のアメリカで始まったと言われているが、台湾でも母の日のシンボルとしてプレゼントする人はとても多い。多くの国と同様に5月の第2日曜日に向けて、すでに街中は母の日ムード一色だ。今回から数回にわたり、台湾での母の日についてご紹介したい。

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今年は花を贈る人が増えている?
はじめに日本の花業界についてお話しすると、母の日は1年で一番のビッグイベントだ。どんなに小さな店でもこの日だけは特別で、臨時で人を雇ったり、作り手を増やしたりしなければならず、私も日本で中規模(従業員10名程度)の花屋を営んでいた時は、3日間徹夜で花束を作り続けたこともある。知り合いの花屋は、1年間の売上の3分の1を母の日だけで稼いでいた。それだけ特別であることがお分かりいただけるだろう。
一方、台湾でも母の日は特別なイベントで、盛大にお祝いする習慣がある。日本より家族間の距離が近く、父母をとても大切にする台湾人だから、クリスマス以上に気合いの入ったプレゼントを贈る人も少なくない。
私が台湾で花屋を経営していて感じるのは、今年は特に花を贈る人が増えていることだ。2021年、2022年はコロナによる外出自粛や、配送員と家族が接触するのを警戒してか、花やプレゼントを贈らない人が多かった。だが、規制が緩和され、マスクなしの外出も許可された今年は、すでに1カ月以上前から注文が入ってきている。
人気のフラワーギフトは、華やかなアレンジメントだ。バレンタインでは直接手渡せる花束が人気だが、母の日には簡単に飾ることができ、手入れの手間もかからないアレンジメントの注文が多い。ただ、母親が花好きだったり、自分で生けることができる場合は花束を選んだり、カーネーションにこだわらず、蘭好きな母親に胡蝶蘭を贈る人も少なからずいる。

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トレンドのスイーツや体験型プレゼントも人気
台湾では母の日に家族全員で食事に行く人が多い。今年はすでに人気のレストランは予約で埋まっているそうだ。レストランを経営している台湾人の知り合いによると、飲食業界では「母の日に客がいない店は潰れる」と言われるほど重大イベントだという。花屋にも同様の格言があり、やはり1年で一番の稼ぎ時なのだろう。
また、外食に行かずとも自宅でパーティーを開き、ケーキを食べる習慣もある。近年は高級ケーキブランドが台湾に進出し、百貨店への出店や直営店が増えている。オーダーメイドでデコレーションケーキを作ってくれる店や、自分で作るためのケーキレッスンも人気のようだ。