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台湾の日本研究シンクタンク「台湾日本研究院」が、「インド太平洋と東アジア情勢の変化における日本研究-地域政治と地域経済の交差」と題するシンポジウムを開催。日本と台湾の研究者が東アジアと世界の現状を分析、討論した。
台湾の日本研究シンクタンク「台湾日本研究院」(李世暉理事長)が4月21日、「インド太平洋と東アジア情勢の変化における日本研究-地域政治と地域経済の交差」と題するシンポジウムを台北市の国立政治大学達賢図書館内で開催し、参加した日本と台湾の研究者が東アジアと世界の現状を分析、討論した。

同シンクタンクは、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が熊本工場新設に乗り出すなど、産業、科学技術分野での日台協力の深化とともに地域の経済安全保障のあり方が変化する中、政治大学の日本社会科学研究チームがベースとなって2021年4月に設立。日本研究の人材育成や日台共通の課題における連携の推進などに力を入れている。
今回のシンポジウムは同シンクタンクの年次総会に合わせて開催。来賓として日本台湾交流協会台北事務所(大使館に相当)の泉裕泰代表(大使)らも出席し、開会に先立って現在の国際社会が「歴史的転換期に直面している」などとあいさつ。理事長を務める李世暉・政治大学教授も「台湾有事は日本有事」と指摘されるなか、「日本研究の重要性は日に日に増している」と強調した。
基調講演では元国家安全保障局次長の兼原信克・同志社大学特別客員教授が「激動する国際情勢と台湾」のテーマで、サイバーセキュリティの重要性などから日本の新たな防衛態勢などを掘り下げ、遠藤乾・東京大学法学部教授(国際政治)が「ウクライナ戦争の含意~国際秩序はどうなっていくのか」と題して武力による現状変更への対処の在り方などを考察。続いて日台の研究者らが経済安全保障などをテーマに討論した。

会場を訪れた男性のひとりは「世界が狭くなったいま、平和と安定こそが人類共通の核心的利益であるという出席者の指摘が特に印象にのこった。この方面の研究が深化することは台湾にとって大変重要だ」と同シンクタンクの果たす役割に期待を寄せていた。

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