注目ポイント
ウクライナ東部の要所バフムトでの戦闘が激化する中、ウクライナ・ロシア双方の首脳は今週、それぞれ前線を訪問し、兵士らを激励したり指揮官からの報告を受けたりした。そんな中、ロシアは今週、中国やブラジルとの関係強化を図った。一方、長野県で開かれていた先進7か国(G7)外相会合は18日に閉幕し、共同声明で、ロシアによるウクライナ侵攻や中国の覇権主義的行動で揺らぐ国際秩序を堅持するため結束を誓った。
ウクライナのシルスキー陸軍司令官は18日、ロシア軍がウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトで空爆と砲撃を一層強化し、街を「廃虚にしている」とする声明を発表した。英国防省は、ロシア軍が州都ドネツク周辺での攻撃を縮小させ、兵力をバフムトの戦闘に集中させる可能性を指摘した。
人口約7万人だったバフムトは、ドネツク州の主要都市へと通じる幹線道路上に位置し、ウクライナ軍は防衛を重視してきた。シルスキー氏は同日の声明で「バフムトの戦いは続く」と述べた。だが、ロシア軍の制圧地域が広がる中でウクライナ軍は補給に問題が生じているとされ、一部撤退の動きも伝えられ始めている。
ウクライナ東部での戦闘が激しさを増す中、プーチン大統領は17日、昨年9月にロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ4州のうち、南部ヘルソン州と東部ルガンスク州の軍司令部を訪問し、現地司令官から報告を受けたと発表した。タス通信によると、プーチン氏のヘルソン、ルガンスク両州への訪問は初めてで、ウクライナ軍が計画する大規模反攻を前に現場の士気向上を図る狙いとみられる。
また、ロイター通信などは、ウクライナのゼレンスキー大統領が18日、東部ドネツク州の激戦地アブデーフカを訪れ、前線の部隊を激励し、部隊から戦況の説明を受けたと報じた。
ウクライナ情勢をめぐり、ロシアは中国やブラジルとの関係強化を図っている。
ロシアの主要メディアは、ショイグ露国防相が18日、モスクワで中国の李尚福国務委員兼国防相と会談したと伝え、中ロの軍事協力は「最も緊密で実りが多い」とし、「世界情勢を安定させ、紛争の可能性を減らす」と強調した。中国国防省の発表によると、双方は主権や領土保全をはじめとした核心的利益を守るため、互いに支え合う方針を改めて確認したとしている。
ロシアメディアはまた、李氏が「両国首脳による合意を必ず実現させ、軍事や軍事技術協力を新しい段階に導く」とし、プーチン氏は軍事協力が両国の戦略的信頼関係を強めていると評価したなどと伝えた。
また、ラブロフ露外相は17日にブラジルを訪問し、ルラ大統領やビエイラ外相と会談した。ルラ氏はロシアが侵攻するウクライナの和平のために、多国間交渉の枠組みづくりを推進したい考えを表明。ブラジルメディアなどによると、ラブロフ氏はビエイラ氏との会談でブラジルの和平仲介に向けた意欲に謝意を示し、ロシアは「長期的な解決策」を必要としていると話したという。