2023-04-18 政治・国際

韓国、引きこもり対策で月額6万6千円支給 全国で33.8万人存在し、4割が思春期から

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韓国でも社会問題化している若者の引きこもり。同国では33万8000人が自宅に閉じこもり、社会から孤立しているという。韓国政府は先週、そういう若者が社会に復帰できるよう、経済支援策を発表した。

韓国政府の女性家族部(省)は先週、社会から孤立した引きこもりを対象に、「心理的および感情的な安定と健全な成長」を支援するために、毎月最大65万ウォン(約6万6600円)を支給すると発表した。

保健福祉部の報告書によると、19歳~39歳の韓国人の約3.1%が「孤立した引きこもりの若者」で、その定義は「限られた空間で一定時間以上、外部から切り離された状態で生活し、生活に著しい困難を感じている」としている。

同部によると、そのような若者が韓国全土で約33万8000人に達し、約4割が思春期に孤立し始めたという。原因は経済的困窮、メンタルヘルス、家族問題、健康問題などさまざまな要因が関係していると考えられている。

今回の救済措置は青少年福祉支援法の一環として、社会から極度に引きこもった人たちや、非行の危険にさらされながらも、保護者や学校の保護を受けていない若者たちの支援を目的としている。

毎月の支給額は、国民所得の中央値=4人世帯で月額約540万ウォン(約55万円)=を下回る収入の世帯に住む、引きこもりの9歳~24歳の若者が、各地の行政福祉センターで申請し、審査後に受け取ることができる。また、保護者、カウンセラー、あるいは教師も代理申請できるとしている。対象者が18歳未満の場合は、本人の同意に基づき、親か祖父母に支払われる。

同部担当者は、「引きこもりの若者は、不規則な生活や栄養の偏りにより身体の成長が遅くなりがちで、社会的役割の喪失や適応の遅れによるうつ病などの精神的問題に直面する可能性が高い」とし、「積極的な支援」の重要性を強調した。

先週発表された女性家族部の報告書によると、思春期からメンタルヘルスの問題や人間関係に苦しんでいた学生を含む、いくつかの具体例も示されている。ある女性は大学に適応するのに苦労し、最終的には出席しないことを選択し、引きこもりになった。また、別の生徒は家庭内暴力と飢餓に直面し、外出することや外部の人間との関係を築くことができなくなったという。

報告書はまた、地方自治体へのガイドラインの配布、青少年の社会的セーフティネットと早期発見システムの強化、シェルターやリハビリセンターなどの青少年福祉施設とのより緊密な連携など、今後の課題についても記している。

だが、一部の地方自治体では、すでに同様のシステムが導入されている。首都ソウルは、引きこもりの若者に対するメンタルヘルス・カウンセリング、趣味の開発と仕事のトレーニング、ライフコーチングを提供する「引きこもり若者支援プロジェクト」を推進している。

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