2023-04-18 政治・国際

中国衛星打ち上げ 専門家「部分軌道爆撃システム開発の参考に」/台湾

注目ポイント

中国が16日午前、人工衛星を搭載したロケットを打ち上げた。残骸が台湾北部沖に落下し、国防部(国防省)は台湾の安全に影響はないとしたが、専門家は中国が今回の発射に関するデータを低周回軌道を回ってから攻撃する「部分軌道爆撃システム(FOBS)」の開発に役立てる可能性があるとの見解を示している。

中国衛星打ち上げ 専門家「部分軌道爆撃システム開発の参考に」/台湾

(台北中央社)中国が16日午前、人工衛星を搭載したロケットを打ち上げた。残骸が台湾北部沖に落下し、国防部(国防省)は台湾の安全に影響はないとしたが、専門家は中国が今回の発射に関するデータを低周回軌道を回ってから攻撃する「部分軌道爆撃システム(FOBS)」の開発に役立てる可能性があるとの見解を示している。

中国は、打ち上げたのは気象観測用の人工衛星だとしている。だが、同部が設立したシンクタンク、国防安全研究院の国家安全研究所所長、沈明室氏は中央社の取材に対し、中国が今回の打ち上げをFOBSの発射や軌道に関するデータ収集に利用する可能性があると分析した。

昨年、中国が打ち上げた大型ロケットの一部とみられる浮遊物をフィリピン軍が南シナ海で回収しようとしたところ、中国海警局の船が妨害し、浮遊物を強奪した。

沈氏はこのことに触れ、中国が浮遊物を回収したのは流出を恐れる機密情報であることを示すと言及。中国が台湾北部沖に落下した残骸を回収するために船艦を派遣するかどうかを観察することで、今回の打ち上げが単なる連日の軍事演習に伴う認知戦の一環か判断できると話した。

同シンクタンクの舒孝煌氏も、中国の一連の動きが台湾世論の操作である可能性を指摘。気象観測用の人工衛星にもかかわらず、飛行禁止区域を設定したことは、今後は民間機も台湾に対する圧力のツールになり得るとの見方を示した。今後は頻度が高まることも考えられるとし、台湾の関係当局は対策を講じる必要があると提言した。

中国は今回の打ち上げに先立ち、16日に海と空の航行禁止区域を設定。交通部(交通省)民用航空局の統計によれば、同日午前9時から10時までで33便が航路を変更した。

(游凱翔/編集:楊千慧)

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