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フランスのマクロン大統領が中国訪問後、メディアとのインタビューで台湾について、「米中対立に欧州が巻き込まれるのは罠(にかかるようなもの)だ」などと発言し、西側各国から猛批判を招いた問題で、仏政府はいまだ火消しに懸命だ。先進7か国(G7)外相会合で来日しているコロナ仏外相は、「中国には責任ある大国にふさわしい振る舞いを期待する」とし、マクロン発言を補足した。
これについてトランプ前米大統領は、マクロン氏が中国に「こびへつらった」と非難。「日米による対中抑止を害する」(米紙)といった声も上がった。
西側各国から批判を浴びたマクロン氏は、国内では年金改革やそれに反対する抗議行動への対応をめぐって支持率が急落。台湾をめぐる発言についても国内メディアからは「失言」とされ、新たな逆風となった。今月の世論調査では30%にまで急落し、2018年の「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」運動といわれた抗議デモが起きた同年12月に支持率が27%にまで落ち込んだ際の最低レベルに迫るとみられる。
フランス政府は15日付の官報で、抗議行動が続く年金制度改革の法律を公布、施行。14日に法案の違憲審査を担う機関、憲法会議が法律の主要部分を合憲と判断した。労組は施行しないよう訴えたが、マクロン大統領は14日中に署名した。
改革は、今年9月から2030年までに年金支給開始年齢を現在の62歳から64歳へ段階的に引き上げ、制度の収支均衡を図る内容。1月の法案発表から労組は大規模なストライキやデモを繰り返し、先週末も国内各地で反対派が集まった。パリなど複数の都市でデモ隊と警官隊の衝突が頻発した。
先月下旬には年金制度改革に反対する労組の一斉ストライキとデモが行われ、内務省によると、デモ参加者は全国で計約74万人。年金改革には国民の7割が反対し、政権の求心力が著しく低下。一部の若者や過激派は、労組の抗議行動に乗じて路上で暴力行為を繰り返し、事態収拾のめどが立たない状況に陥った。
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