2023-04-17 政治・国際

台湾巡るマクロン発言で仏閣僚火消しに懸命 国内では年金改革強行で大統領支持率急落

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注目ポイント

フランスのマクロン大統領が中国訪問後、メディアとのインタビューで台湾について、「米中対立に欧州が巻き込まれるのは罠(にかかるようなもの)だ」などと発言し、西側各国から猛批判を招いた問題で、仏政府はいまだ火消しに懸命だ。先進7か国(G7)外相会合で来日しているコロナ仏外相は、「中国には責任ある大国にふさわしい振る舞いを期待する」とし、マクロン発言を補足した。

フランスのコロナ外相は緊張が高まる台湾情勢について、武力による一方的な現状変更に反対する立場を再確認し、「中国には責任ある大国にふさわしい振る舞いを期待する」と共同通信との書面インタビューでそう述べた。コロナ氏は18日まで3日間、長野県軽井沢町で開かれている先進7か国(G7)外相会合に出席している。

マクロン大統領が台湾情勢をめぐり、欧州は米中両国のどちらにも「追随」すべきではないとの考えを示したことで、欧米各国で中国に融和的すぎると批判を招いた。コロナ氏は、マクロン氏が今月の訪中の際、台湾の現状維持にこだわる立場を習近平国家主席に伝えたと説明。「中国と対話を維持し、多くを要求する」と訴え、マクロン氏の発言を補足した。

対台湾関係については「一つの中国」の原則尊重は不変とする一方、経済や産業、科学技術などの分野で協力を深めていると強調。「民主主義の価値や人権尊重の姿勢を共有する」と言及した。

また、国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合に出席していたルメール仏財務相は先週、フランスと欧州は米国や中国から独立した政策を追求することを望んでいるとした一方、「米国の強力で信頼できる同盟国」であり続けると強調。マクロン氏の発言について、何年も前から主張している立場であり、批判は「空騒ぎだ」と一蹴した。

訪中後の先週、オランダを訪問した際の会見でマクロン氏は、台湾情勢に関し「最悪なのは、欧州が米国のリズムや中国の過剰反応に追随しなければならないと考えることだ」とメディアとのインタビューで主張したことについては撤回せず、「欧州の戦略的自立」を促す持論を説いて、波紋の収束を図ろうとした。その上で、フランスの台湾に関する立場に「変わりはない」と明言した。

マクロン氏が中国に対して融和な発言をした背景には、今月上旬の訪中の際、習近平国家主席から国賓として招かれ、異例な厚遇を受け、同行した仏企業は中国企業と大口契約を交わしたことが背景にあるのではと指摘されている。その結果、仏紙などとのインタビューで、台湾をめぐる米中対立に欧州が巻き込まれるのは「罠(にかかるようなもの)だ」などとの発言が飛び出したというのだ。

また、ロイター通信によると、マクロン氏が習氏から好待遇を受けたのは、米国に対抗しようとしている中国が、欧州連合(EU)内に重要な連携相手を確保するため外交攻勢を強めていることの表れだと複数の専門家はみている。

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