2023-04-13 経済

スイス2大銀行の統合に必要なものは

注目ポイント

スイス金融大手UBSによるライバル行クレディ・スイスの買収価格はわずか30億フラン(約4300億円)。書類上はUBSが大儲けしたように見えるが、これが安物買いの銭失いとなるかは、統合完了後まで分からない。

米国、英国、欧州連合(EU)といった主要な金融当局はスイス当局の介入による取引をおおむね歓迎している。

現在、UBSが業務を展開する58カ国で、監査機関や反トラスト局と細かい取り決めをめぐり議論が進んでいる。

UBSは具体的な合併計画の発表には数週間かかるとしている。スイス政府は年内には買収を完了したい意向だ。

英ファイナンシャル・タイムズ紙の報道によると、UBSはすでに複雑なクレディ・スイスの投資銀行部門の分社化計画を見直している。

買収は成功するか?

クレディ・スイスもUBSも過去に買収を経験している。クレディ・スイスは1988年に米国の投資銀行ファースト・ボストンを買収した。その10年後、スイス銀行コーポレーションとスイス・ユニオン銀行が合併しUBSが誕生した。

しかしこれは、2007~08年の金融危機を通して「大きすぎて潰せない」や「グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)」といった言葉が作り出される前の話だ。

ケレハー氏は「これは2008年以降で最大の金融取引だ。初めて2つのG-SIBsが合併するのだから2008年のどんな取引よりも大きいと言えると思う」と話した。

UBSはクレディ・スイスの買収により世界市場、特に米国、東南アジア、ラテンアメリカで力を増すだろうと話す。しかし幹部はつまずく可能性も認めている。

統合が成功し、メガバンクとなっても、効率的に機能し、利益を出す必要がある。

新体制でどの程度成功するかを推測するには、最終的な組織体制や戦略が発表されるのを待つ必要がある。

英語からの翻訳:谷川絵理花

 

この記事は「SWI swissinfo.ch 日本語版」の許可を得て掲載しております

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