注目ポイント
台湾の有名モデル、リン・チーリンの出産をきっかけに知られるようになった台湾の不妊治療。その現状や政府による支援について、台湾在住のデジタルマーケターが寄稿した。
こんにちは、台湾大好きライターの津山です!EXILEのAKIRAと結婚した台湾の有名モデル、リン・チーリン(林志玲)が昨年、47歳で第一子を出産しました。彼女が卵子凍結と体外受精を利用したことは、多くの方がご存知でしょう。
台湾では、女性の社会進出が進んでいるため、晩婚化が進んでおり、不妊治療を利用する人も増えています。
しかし、台湾の不妊治療は費用面での負担が大きいと言わざるを得ません。そこで政府は、2021年から、不妊治療(体外受精)に対して補助金を提供し始め、利用者が急増しています。
また、台湾の不妊治療の技術水準は世界的にも非常に高く、世界中から不妊治療を受けるために台湾を訪れる人が増えています。
今回は、台湾の不妊治療の現状や利用状況、政府の不妊治療対策に対する補助金について、実際に台湾の不妊治療センターを訪れた筆者が、日本との比較を交えてご紹介します。
台湾の婚姻状況と不妊治療の利用状況まとめ
まず台湾の婚姻状況と、不妊治療の利用状況についてご紹介します。
台湾の婚姻状況:女性の晩婚化が止まらない
台湾の2021年の平均初婚年齢は夫 34.4歳、妻 32.3歳です。これは、日本の平均初婚年齢(夫 31.0歳、妻 29.5歳/2021年度)に比べて晩婚化が進んでいます。
2000年の段階で、台湾の平均初婚年齢は夫 32.1歳、妻 27.0歳だったため、20年ほどで特に女性の晩婚化が顕著に進んでいます。これは、台湾女性の高学歴化による社会進出が大きく影響していると考えられています。
台湾の不妊治療利用状況
台湾での人工授精や体外受精は、リン・チーリンの出産事例を通じて広く知られるようになりました。
2020年には、台湾で体外受精を通じて生まれた子供の数(体外受精児)は8,944人で、出生数16万5249人からすると5〜6%を占めています。
一方、日本の体外受精児は2020年時点で6万381人で、出生数84万832人の7%となっており、台湾に比べて若干多い状況です。
不妊治療にかかる費用:台湾と日本を比較してみた
台湾と日本の不妊治療にかかるおおよその費用は、以下の通りです。
台湾:
人工授精:1回あたり1.5~2万元前後(2023年4月時点、日本円で8万円程度)
体外受精:1回あたり15~25万元前後(2023年4月時点、日本円で65~100万円程度)
日本:
人工授精:1回あたり1~3万円前後
体外受精:1回あたり20~60万円前後
これらのデータから見ると、台湾の不妊治療にかかる費用は決して安いとは言えません。
筆者が台北の産婦人科で卵子凍結の費用を尋ねたところ、10万元(2023年4月時点、日本円で45万円程度)と言われました。これは、日本の産婦人科で尋ねた際の50万円とほとんど変わらない状況です。