注目ポイント
東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)で4月27日(木)から8月20日(日)まで開催される「マティス展」では、世界最大のマティス・コレクションを誇るパリのポンピドゥー・センターの全面的協力を得て、約150点の名品が紹介される。
〇第4章「人物画と室内画」(1918-1929)——1920年代、ニースに居を構えたマティスは、以前よりも小さなカンバスを用いて、肖像画や室内画、風景画を描き、伝統的な絵画概念に向き合うようになる。本章では、これまでの造形的な実験をマティスが再検証した10年間の試みを紹介していく。イスラムのスルタンに仕える女性「オダリスク」が、この頃からマティスにとって重要なモチーフとなっていく。

〇第5章「広がりと実験」(1930-1937)——1930年代のマティスは、アメリカやオセアニアを旅し、新しい光と空間に触れながら、再び豊かな造形上の探求に戻る。本章では「夢」など、最晩年までマティスの特別なモデルとなるリディア・デレクトルスカヤを描いた作品を中心に、絵画のフォーマットに人物の形態を挿入する方法について、無数のバリエーションを伴いながら追求したこの時期の試みなどを紹介する。
〇第6章「ニースからバンスへ」(1938-1948)——再び戦争が始まり、高齢と病気のためにフランスを離れることをあきらめたマティスは、療養を続けながらニースからバンスへと居を移す。彼は寝たきりの時期であってもドローイングや本の挿絵の制作などに没頭し、ドローイング集『主題と変奏』をはじめとする重要な仕事を残した。
〇第7章「切り紙絵と最晩年の作品」(1930-1954)——1930年代から習作のための手段として用いられてきた切り紙絵が、40年代になると、マティスにとって長年の懸案であった色彩とドローイングの対立を解消する手段として、重要なものとなっていった。本章では「ハサミで描く」というこの画期的な手法によって生み出された、巨匠の最晩年の作品を紹介していく。グワッシュで彩色された鮮やかな切り紙絵による書籍『ジャズ』、アトリエの壁に設置された2枚組の大作「オセアニア」などが展示される。
〇第8章「バンス・ロザリオ礼拝堂」(1948-1951)——最晩年、マティスはバンスのロザリオ礼拝堂のためのプロジェクトに没頭する。建築、装飾、家具、オブジェ、典礼用の衣装などの総合芸術のために、マティスは、ドローイング、彫刻、切り紙絵など、これまでに探求してきた技法を駆使して、光と色と線が融合する空間の創出を目指した。
「マティス展」は日時指定予約制。休室日は月曜日と7月18日(火)。ただし、5月1日、7月17日、8月14日は開室。開室時間は午前9時半から午後5時半(金曜日は午後8時まで)。入室は閉室の30分前まで。観覧料は、一般:2200円、大学生・専門学校生:1300円、65歳以上:1500円。小・中・高校生は無料。チケットの発売と日時指定予約は4月13日(木)午前10時から。詳細は展覧会公式サイトを参照。問い合わせは050-5541-8600(ハローダイヤル)まで。