注目ポイント
港が大合唱を始める朝、この港町マスターである私が鹽埕の3つの市場を案内しよう。市場の周りには路地があり、漁港や鹽埕で最も賑わっている老舗の朝食屋もある。この旅を完走できるようにまずはお腹を満たし、そして人波にのまれないくらい飲もう!
写真・洪立、文・王寶尼
高雄の鹽埕地区は、アートと小吃の街として知られている。鹽埕を歩いていると、まるでRPGゲームの世界に入り込んだようだ。シンプルな屋台の外観に目を奪われるが、店に近づくと100年以上の歴史に触れられることもある。日本の貴族を喜ばせた美食、アメリカ軍を相手に売り込む屋台の店主、そして鹽埕の老若男女を育てた100年以上もの食の歴史と街の発展の足跡が、今もなお残っていることの証でもある。
これは日本統治時代のおじいちゃんの魚屋だ!

© Photo Credit:洪立
日本統治時代の鹽埕の港口は、鉄道が集結する交通の要所であり、当時の政府機関(高雄市役所)があったことから、政治や経済、貿易、娯楽等の全ての中心地だった。
鹽埕示範市場は、かつて鹽埕の町市場として知られ、日本統治時代は野菜市場として栄えた。当時は日本人エリアと台湾人エリアに分けられており、「周家老魚舖」はこの地で100年以上営業しており、3代目店主の周志明さんは、おじいさんがカラスミを売っていた時からこの店を守り続けている。「父は祖父の、私は父の手伝いをしてきたように、みんな幼い頃からここで店の手伝いをしている。この市場が自分の家みたいなものである」。
事業を引き継いだ周さんは、鹽埕の市場を拠点に魚のすり身を加工して販売する新たなビジネスチャンスを見出した。新鮮な魚で作った各種魚肉加工製品は、オンラインで台湾全土で販売されている。
※住所:鹽埕區鹽埕示範市場A11號攤(七賢路山路119之1號入口から入る)
営業時間:8:00~13:00
鹽埕示範市場|周遭美食推薦

© Photo Credit:洪立
正味珍烏魚子行
※住所:高雄市鹽埕區七賢三路125號
営業時間:10:00~22:00
高雄婆婆冰創始店
※住所:高雄市鹽埕區七賢三路135號
営業時間:10:00~00:00
米軍に豚肉を売るため父は日、英、中、台(台湾語)の4か国語を話せるようになった

© Photo Credit:洪立
70年以上続く「洪家豬肉攤」の前店主の洪老さんは、日本統治時代は航空局の公務員だった。戦後、仕事も貯金も失った彼は、生活のために1948年に開設された「鹽埕第一公有市場」で、豚肉の屋台業を始めた。
当時、台湾とアメリカが友好関係にありアメリカの第7艦隊が港に駐留していたため、多くの米軍が鹽埕に物資の補給に出かけていた。洪さんの豚肉は、その品質と評判でアメリカ艦隊から信頼されていた。現在、屋台を引き継いでいる洪さん(娘)は、このように昔を振り返る。