2023-04-05 政治・国際

ウクライナの地雷除去 市民の安全守るスイスの取り組み

注目ポイント

ロシア侵攻から約1年、今やウクライナ領土の3割が爆発物で汚染され、市民の生活を脅かしている。4日の「国際地雷デー」に寄せ、地雷処理を巡るスイスの支援活動を紹介する。

GICHDのディレクターを務めるステファノ・トスカーノ大使は、対人地雷禁止条約の加盟国は概ねその内容を遵守しているが、危険性を減らすためには今以上の取り組みが必要だと言う。そして「国際社会は、対人地雷禁止条約の普遍化を目指すとともに、対人地雷の使用を糾弾し続けなければならない。条約にはまだ164カ国しか加盟しておらず、普遍的とは呼べない」と語る。次の映像で、地雷がいかにウクライナ社会を麻痺させているかを同氏が説明する。

スイスには、スイス地雷除去財団(FSD他のサイトへ、本部・ジュネーブ)という地雷対策に特化したNGOがある。米国務省、スイス外務省、並びに複数の民間財団の支援を受け、ウクライナでのプロジェクトは2015年から実施している。同財団は戦場における地雷処理を行う特殊班8チーム、機械的な地雷処理を行うチーム、技術以外の調査を行う3チーム、リスク教育を担当する4チームで構成される。地雷や不発弾と安全に「共存」する方法を住民に伝えるため、コミュニティでのオンラインレッスンや、フェイスブックやロシア発の大規模SNS「フコンタクテ(VK)」を利用した予防キャンペーンを行っている。

赤十字国際委員会(ICRC他のサイトへ、本部・スイス)最大の武器汚染専門チームもウクライナで活躍する。武器汚染の専門家18人が、不発弾のある地域のマーキングと除去作業を支援し、地域社会や自治体職員に地雷の安全管理に関する情報を伝えている。

ICRCはまた、被災した家屋や水道・電気などのライフラインの修復に加え、暖房が使えるよう100万人以上の人々を支援する。

英語からの翻訳:シュミット一恵

 

この記事は「SWI swissinfo.ch 日本語版」の許可を得て掲載しております

 

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