2023-04-05 政治・国際

フィンランドが4日、NATOに正式加盟 露は「安保と国益を侵害」、対抗措置取る

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注目ポイント

北欧フィンランドは4日、北大西洋条約機構(NATO)に正式加盟した。新規加盟は2020年3月の北マケドニア以来で31か国目となった。フィンランドは昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻を受け、第2次大戦後の中立外交の転換を決断した。フィンランドの加盟で北欧の安全保障環境は激変し、ロシアは自国包囲網の拡大を招いている。

北大西洋条約機構(NATO)は4日、ブリュッセルの本部でフィンランドの正式加盟を祝う式典を開催し、フィンランド国旗が掲げられた。NATOのストルテンベルグ事務総長は前日の記者会見で、フィンランドの正式加盟となる4日は「歴史的な日となる」と述べた。

バイデン米大統領はフィンランドが正式加盟したことを歓迎する声明を発表。一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は、「ロシアの安全保障と国益に対する侵害」と指摘、対抗措置を取ると警告した。

ロシアのウクライナ侵攻を受け、フィンランドは安全保障環境が変わったとして、昨年5月にスウェーデンと同時にNATO加盟を申請。トルコ議会が今年3月30日、フィンランド加盟議定書を承認する法案を可決したことで、加盟が決定していた。今後はスウェーデンの承認が焦点となる。

フィンランドのニーニスト大統領はNATO全加盟国に謝意を示し、「強力で有能な加盟国になる」と表明。ストルテンベルグ事務総長も「NATO全体がより強く安全になる」と歓迎した。フィンランドは数週間かかる見通しの事務手続きに入った。

ロシアと約1300キロにわたる国境を接するフィンランドは、これまでの軍事的中立政策を転換。ハービスト外相は昨年12月、ロシアのウクライナへの核威嚇が「(加盟申請の)引き金になった」と説明した。

スウェーデンのクリステション首相は、フィンランドのNATO加盟に祝意を示し「NATOとわれわれの近隣国は、より強くなっている」とツイート。ただ、スウェーデン放送は、同時に加盟申請したフィンランドに先行され、自国がNATOの「かやの外」に置かれたとして焦燥感を示し、「ロシアによる挑発と影響にさらされる危険性が高まった」と指摘した。

イスラム教徒が多数派のトルコとスウェーデンの関係は今年1月下旬、首都ストックホルムにあるトルコ大使館前で移民政策などに反発する同国の極右政治家がデモを実施し、イスラム教の聖典コーランを燃やしたことで一気に悪化した。

スウェーデンのNATO加盟申請についてトルコは当初から、自国で分離独立を目指す少数民族クルド人らの非合法武装組織「クルド労働者党」(PKK)が、スウェーデン内で活動場所を与えられていることを問題視。トルコのエルドアン大統領はスウェーデンに対し、身柄の引き渡しを求める120人のリストを送付したことも明かし、「NATOに入るためには、これらテロリストを送還する必要がある」と迫ったという報道も伝えられた。

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