2023-04-04 政治・国際

サンクトでプーチン支持派のブロガー爆殺 地元のフェミニズム活動家26歳女を逮捕

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注目ポイント

ロシア第2の都市サンクトペテルブルクのカフェで2日、爆発があり、ウクライナでの軍事作戦の様子を前線から伝えてきたプーチン支持派の有名軍事ブロガーが死亡し、30人以上が負傷した。ロシア連邦捜査委員会は殺人容疑で捜査を開始。3日、殺人容疑で指名手配した女(26)を拘束したと発表した。タス通信が伝えた。

サンクトペテルブルクで起きた爆破テロでプーチン支持派の軍事ブロガー、マクシム・フォミン氏が死亡した事件で、捜査当局が3日に逮捕したのは、地元出身のダリア・トレポワ容疑者。ロシア通信などによると、同容疑者はフェミニズムの活動家として知られ、昨年2月には違法な集会を組織したとして拘束されていた。

カフェではフォミン氏の講演会が開かれ、目撃者の話によると、1人の女がフォミン氏にプレゼントした小さな像が爆発した。爆発物が仕込まれていたとされる像を手渡したのがトレポワ容疑者だったのかなどは不明。

爆発テロのあったサンクトペテルブルクはプーチン大統領の出身地でもある。

ロシアでは昨年8月、首都モスクワ郊外で走行中の乗用車が爆発し、プーチン大統領の外交政策に影響を与えてきたとされ、「プーチンの脳」と呼ばれた極右思想家ドゥーギン氏の娘が死亡する事件も起きている。フォミン氏は生前、ドゥーギン氏と行動を共にすることもあり、一緒に撮られた写真も多いという。

では、殺害されたそのフォミン氏とは、いったいどういう人物だったのか。

フォミン氏はロシアが昨年9月に一方的に併合を宣言したウクライナ東部ドネツク州出身。隣のルハンシク州で親ロ派武装勢力部隊に加わり、侵攻開始後は前線からの情報を通信アプリなどに投稿。「ウラドレン・タタルスキー」のブロガーネームで知られていた。

ロシアの国営ニュース専門局ベスティによると、フォミン氏のブロガーネーム「ウラドレン・タタルスキー」は、2019年にロシアのSNSテレグラムのチャンネルを開設した際、現代ロシア文学の旗手ヴィクトル・ペレーヴィンの小説「ジェネレーション〈P〉」の主人公の名前にちなんで付けられたという。小説では、ソ連崩壊後のモスクワで、主人公がやがてヴァーチャル空間の新たな創造者として君臨するという実験的な手法で描かれた作品。

フォミン氏自身も数冊の書著を出版している。

CNNによると、フォミン氏のブログは50万人以上のフォロワーを持ち、歯に衣着せぬロシア有数の軍事ブロガーで、戦争を熱烈に支持する発言を繰り返していた。時にロシアの戦場での失態を批判することもあった。昨年5月、同氏はCNNに対し、作戦全体を批判するのではなく「個別の戦局」を批判しているとし、ロシア軍はウクライナでの目標を達成すると信じていると語っていた。

フォミン氏が全国的に注目を集めるきっかけになったのは、昨年9月、ロシアが違法にウクライナのドネツク、ヘルソン、ルハンシク、ザポリージャの4州を併合したことを記念するクレムリンでの式典に出席したことだったという。

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