注目ポイント
台北在住の料理家でライターの遊佐水亜さんが、台湾で見つけたさまざまな食材を用いて、季節や年中行事に合わせたおつまみのレシピや相性抜群のお酒を紹介する月イチ連載。第六回は、ニラをたっぷり使った、山東省がルーツの「韭菜盒子」。冷たいビールに、最近注目されているあのワインとも相性抜群だそう。

今月のおいしい季節食材「ニラ」
春に旬を迎える香味野菜のひとつといえば、ニラ! 生で食べられるのはもちろん、スープ、炒めもの、粉もの料理までさまざまな使い方ができる便利な食材です。
この時期のニラは特に柔らかく甘みがあり、香りも豊か。台湾では「韭菜(ジョウツァイ)」と呼ばれており、卵炒めや和えものといったおつまみとして食卓に登場します。また「韭黃(ジョウホァン)」と呼ばれる黄ニラ、ニラの花「韭菜花(ジョウツァイホァ)」も、こちらの八百屋さんやスーパーでは安価で手に入ります。
多くの香味野菜と同様に、ニラも気の巡りや血の巡りをよくする食材といわれています。解毒作用があり、身体をあたためて疲労回復を促してくれるので、気温の変化から体調を崩しやすくなる今の季節には欠かせません。

今月のおつまみ「韭菜盒子(ニラと春雨の包み焼き)」
今月は、台湾の屋台でもよく見かける「韭菜盒子(ニラと春雨の包み焼き)」という料理のレシピをご紹介します。
もともとは中国・山東省が発祥とされる「韭菜盒子」は、小麦粉を練った生地でニラ、春雨、卵、豚肉などの具材を包み、かりっと焼いたおやきのような料理。素朴な見た目ながら旨みたっぷりで、ビールをはじめとするお酒にもよく合います。
一般的には緑のニラでつくりますが、本レシピでは黄ニラを用いています。黄ニラは、水分が多く香りもおだやかで、しゃきしゃきとした歯ごたえを楽しめるのが特徴。どちらでつくっても違ったおいしさを味わえるので、お好みでどうぞ。
材料とつくり方
【材料(つくりやすい分量)】
[生地(約10枚分)]
中力粉 300g
塩 小さじ1
米油(サラダ油でもOK) 15ml
お湯 150ml
冷水 100ml
黄ニラ(ふつうのニラでもOK) 200g
春雨 40g
卵 2個
豚ひき肉 100g
桜えび 大さじ2〜3
醤油 少々
塩 少々
砂糖 ひとつまみ
白こしょう 少々
ごま油 適量

【つくり方】
- 生地をつくる。ボウルに中力粉、塩、米油を加えて、お湯を注ぎ入れながら箸でかき混ぜる。生地がポロポロとして少しまとまってきたら冷水を加えて、さらに箸で混ぜる。生地を取り出して、手でこねる。粉っぽさがなくなり表面に光沢が出てきたら丸く形をととのえてボウルに戻し、ラップをして30分ほど室温で置いておく。
- 春雨は水に15分ほどつけて戻し、1〜2cmくらいにカットする。卵はフライパンでさっと炒めて炒り卵にする。豚ひき肉もフライパンで炒めて、醤油大さじ1くらいと白こしょうを加えて下味をつけておく。桜えびは包丁で粗くきざむ。
- 餡をつくる。ニラを1cm程度の長さにカットしてボウルに入れ、春雨、卵、豚ひき肉、桜えびも加える。さらに塩、砂糖、白こしょう、ごま油を加えて混ぜ合わせる。餡にしっかりと味をつけたいときは、醤油をさらに加えてもOK。
- 1の生地を10等分にして、打ち粉(分量外)をつけながら麺棒で生地を円形にうすくのばす。3の餡をのせて半分に折りたたみ、空気が入らないようにしながら両辺をしっかりと閉じる。このときにふちの部分をさらにくるくるとねじって、模様をつくってもよい。
- フライパンにごま油をひいて熱したら4を並べ入れて、両面がきつね色になるまで中弱火で焼く。

おつまみに合うお酒&ひとことメモ
「韭菜盒子」は、焼きたてのあつあつをほおばりながら、冷たいビールを飲むのが最高! ですが、白ブドウを果皮や種とともに醸した「オレンジワイン」との組み合わせもオツなもの。独特の風味を帯びた琥珀色のオレンジワインと中華料理のマリアージュ、興味のある方はぜひ試してみてくださいね。
うすい生地をつくるのは難しいですが、打ち粉をつけながら麺棒を使ってテンポよくのばしていくのがポイント。餡が余ったらスープにしたり、餃子の皮や春巻きの皮に包んだりしてアレンジするのもおすすめです。
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