注目ポイント
漬物には時間をかけた分だけ深い味わいがあり、漬物にすることで野菜はまた別のうま味を醸し出す。漬物を知ることで、その土地の風土が理解でき、地域の人々と食べ物との物語にも触れられる。収穫、洗浄、塩漬け、天日干しと、どのプロセスも手を抜くことはできず、それが人々の暮らしの一部となっている。長年にわたって続いてきた漬物作りは、台湾の農村の大切な文化なのである。
破布子の料理の話のほかに、世界で唯一、台湾だけで破布子が食用されているという点にも注目したい。作家の古碧玲は「誰が最初に破布子を食べたのか?」というコラムで、「シダの父」と称えられる郭城孟と話した内容を紹介している。――郭城孟によると、インドや広東省の沿海地域、フィリピンなどにも野生の破布子(カキバチシャノキ)が生息しているが、これらの地域には破布子を食べる文化はなく、一方で熱帯に属し、氷河期の生き残りの生物が多い台湾ではこれを食用する。ここから郭城孟が推測するのは、人類が大移動の途中で台湾に到達した時に、食べられる植物が多くはなかったため、沿海地域に居を構えた人々は破布子を塩漬けにして食べたのではないかということだ。塩漬けにすることで渋みが抜け、溶け出したペクチンの作用で塊状にしやすくなるので、移動の際の携行にも便利だったからではないかと考えられるという。
この「誰が最初に破布子を食べたのか?」という疑問に対する科学的、考古学的な答えは出ていないものの、私たちが破布子を食べる時、この謎は、もう一つ別の味わいを添えてくれるのではないだろうか。









転載元:台湾光華雑誌