2023-03-31 政治・国際

24年パリ五輪にIOCがロシア復帰を推進欧米は反発、侵攻止めるまで参加禁止を要求

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注目ポイント

国際オリンピック委員会(IOC)は今週、ロシアとその同盟国ベラルーシの選手の国際大会復帰に向けた諸条件を各国際競技連盟に勧告した。両国の選手が国際舞台に再び参加できるよう推進するIOCの対応に、各国からは反発が相次いでいる。ロイター通信によると、ウクライナの隣国、ポーランドのバブジク副外相は「IOCにとって恥ずべき日だ」と断じた。

それでもバッハ氏は、国籍に関係なくすべての国の選手をオリンピックに参加させることを求めるザンタキ氏らの発言を引き合いに出し、「この明確な声明は、オリンピック・ムーブメントでは無視することはできない」と強調した。

バッハ氏が就任後のIOCは、ウクライナ侵攻前からロシアへの対応をめぐり、これまでも批判されてきた。ロシアの国家がらみの組織的なドーピング疑惑が発覚した後、IOCは個人の立場に限りロシア選手の五輪参加を認めてきた。その後、ドーピングプログラムに関与した選手らについてIOCが調査を計画したが、ロシアは査察団の受け入れを阻止した。

また、2013年にバッハ氏がIOC会長に就任した際、最初に祝福の電話をかけてきたのはプーチン大統領だったことも、ロシアに〝甘い〟IOCの体質が指摘された。ただ、ウクライナ侵攻後、IOCはプーチン氏からオリンピック勲章を剥奪した。バッハ氏は、 「われわれは、ロシア側からウクライナの工作員だと非難され、ウクライナ側からは戦争の促進者として非難されている」とし、板挟みの立場を強調した。

国際大会への出場を目指すロシアとベラルーシの選手たちの今後について、また、どの大会に復帰できるかは不明のままだ。例えば、世界の陸上競技を統括する運営組織は先週、ロシアとベラルーシの全ての選手に対して、「ロシアのウクライナ侵攻により当面の間」、無期限の禁止を延長した。

その運営組織「ワールドアスレティックス」(世界陸連)の広報官は28日、同陸連は、特にアジア地域の国内オリンピック委員会の集合組織である「アジア・オリンピック評議会」について、陸連の決定に従うよう働きかけていると語った。というのも、同評議会はIOCからの要請を受け、7月にタイ・バンコクで開催されるアジア陸上競技選手権大会に、ベラルーシとロシアの選手を受け入れる準備をしているからだ。

世界陸連によると、同アジア大会の主催者側にロシアとベラルーシの選手の参加を許可しないよう求めている。両国は欧州のスポーツ連盟に加盟しているが、同連盟加盟の圧倒的多数の国が両国からの参加に反対しているため、アジア大会での出場機会を模索しているというのだ。

実際、ロシアとベラルーシの選手締め出し緩和を狙ったIOCの取り組みは、さまざまな場で大きな抵抗を受けている。

米国、英国やドイツなどを含む、30か国以上のスポーツ担当相と政府関係者からなる代表団は2月、ウクライナ侵攻が続く限り、両国選手による国際スポーツ大会参加の禁止を明文化するようIOCに強く求めた。その上で、「ロシアとベラルーシの選手が国から直接資金と支援を受けていることを考えると、中立的な立場で競技に参加させるということ自体、深刻な懸念がある」とし、IOCの復帰条件は事実上、意味を持たないと一蹴した。


 

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