2023-03-31 政治・国際

24年パリ五輪にIOCがロシア復帰を推進欧米は反発、侵攻止めるまで参加禁止を要求

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注目ポイント

国際オリンピック委員会(IOC)は今週、ロシアとその同盟国ベラルーシの選手の国際大会復帰に向けた諸条件を各国際競技連盟に勧告した。両国の選手が国際舞台に再び参加できるよう推進するIOCの対応に、各国からは反発が相次いでいる。ロイター通信によると、ウクライナの隣国、ポーランドのバブジク副外相は「IOCにとって恥ずべき日だ」と断じた。

国際オリンピック委員会(IOC)はロシアとベラルーシの選手の五輪への出場可否をめぐっては判断を保留したものの、復帰を促す方針は崩さなかった。IOCは各国際競技連盟への一連の推奨事項の中で、両国の選手が個人として中立な立場で国際大会に参加することを許可する方針を示している。

米紙ニューヨーク・タイムズは、この勧告がオリンピック・ムーブメント(スポーツを通じて世界平和を目指す運動)を主導してきた米国など数十か国の国内オリンピック委員会を説得できないと指摘。これらの委員会は、ロシアやベラルーシからの選手の参加に公然と反対を表明している。もし両国選手の参加が決まれば、ウクライナは2024年のパリ五輪ボイコットを表明している。

同紙によると、今回の勧告は、IOCが昨年示していた立場を一転するものとなった。 ロシアによるウクライナ侵攻の直後、IOCは、限られた例外を除き、ロシアとベラルーシの選手たちを大小の国際スポーツ大会から排除した世界の各スポーツ統治機関に同調していた。

今回の勧告を受け、IOCのバッハ会長の母国ドイツのフェーザー内務相は、ロシアとベラルーシの選手たちに門戸を再び開くという方針について、「ウクライナの選手たちに平手打ちをするようなものだ」とIOCの姿勢を強く批判した。ポーランドのバブジク副外相は「IOCにとって恥ずべき日だ」と吐き捨て、チェコのリパフスキー外相は失望を表明し「(両国選手は)五輪にいるべきではない」と訴えた。

バッハ会長はオンライン記者会見で、ウクライナのジャーナリストからIOCが方向転換した理由を聞かれ、こう説明した。まず、複数の国際スポーツ大会、特にテニストーナメントにロシアとベラルーシの選手が参加し、すでにウクライナの選手と対戦していることを挙げた。2つ目は、国籍を理由に選手を大会から締め出すことは、「重大な人権侵害」になると複数の国連当局者から指摘されたことだとした。

その1人で、国連の文化的権利に関する特別報告者で国際法学者のアレクサンドラ・ザンタキ氏は今週、ウクライナ侵攻に積極的に関与した軍人でさえ、戦争犯罪に加担しない限り、オリンピックに参加することは許可されるべきだと訴え、論争を巻き起こした。

〝戦時下〟のロシアでは、多くのアスリートが軍に入隊し、訓練を受けている。侵略が始まって以来、その大義のために徴兵された者もいる。AP通信によると、ロシアの五輪の成功は軍隊と密接に関係しているという。21年の東京五輪では、ロシアが獲得したメダル71個のうち45個は露陸軍中央スポーツクラブと関係する選手によるものだった。

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