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中国を訪問中の馬英九前総統は28日、「国父」と呼ばれる孫文が眠る南京の中山陵を参拝した。

(南京中央社)中国を訪問中の馬英九(ばえいきゅう)前総統は28日、「国父」と呼ばれる孫文が眠る南京の中山陵を参拝した。馬氏はその場では孫文の遺言を唱えたのみだったが、司会者が読み上げた祭文や後に発表した談話にはいずれも「孫文が中華民国を樹立し、建国からすでに112年を迎えた」との内容が盛り込まれた。
馬氏は墓室に花輪を手向け、敬意を表した。花輪に名前は記されていなかった。また、孫文のひつぎに向かい、3度お辞儀をした。
司会者が読み上げた祭文では、中華民国暦や西暦への言及はなく、日付は「癸卯年3月28日」とされた。肩書には「中国国民党元主席馬英九先生」が用いられ、末尾は「馬英九先生」とされた。「先生」は中国語では男性に使われる敬称。孫文が「列強に力強く対抗し、民国を樹立」したことに言及した他、「両岸(台湾と中国)の人民は同じく中華に属する」「92年コンセンサス、平和の基礎」などの文言もあった。
馬氏は中山陵で揮毫(きごう)した「和平奮闘、振興中華」(平和のために奮闘し、中華民族を振興する)の書を披露。自身の名前に肩書は付けず、紀元には民国暦と西暦が併用された。
その後、孫中山記念館に移動し、談話を発表。孫文が国民革命を指揮して清朝を打倒し、中華民国を建国してから今日までに112年が過ぎたと言及。「中国4000年余りの専制政治を終わらせ、アジア初の民主主義共和国―中華民国を建国した」と語り、「中国史において前例がない偉大な貢献は、中国の命運を変え、中国を富強康楽に向かわせる始まりになったことだ」とたたえた。その上で、両岸が共に努力することで平和を追求し、戦争を避け、中華の振興に尽力することは、「両岸の中国人にとって避けてはならない責任だ」と述べた。
馬氏の参拝に当たり、中国側は多くの警察官を配置。だが、他の参拝客らの締め出しは行われず、撮影をしようとする大学生や取材に来た海外メディアの記者らは公安局の職員から追い払われていた。
(呂佳蓉/編集:名切千絵)