2023-03-27 政治・国際

中国と国交樹立ホンジュラスも台湾と断交 習氏、台湾孤立化狙うも「何も変わらない」

© Photo Credit: GettyImages ホンジュラスのシオマラ・カストロ大統領

注目ポイント

中国は26日、台湾と断交した中米ホンジュラスとの国交樹立に関する共同文書の署名式を北京で開催した。中国の秦剛国務委員兼外相は署名式後の記者会見で、「一つの中国」を堅持することが「国際的大義にかなう」と強調した。これにより台湾が外交関係を持つ国は13にまで減少した。ますます活発化する中国の台湾孤立化戦略は、果たして成功しているのか。米CNNは「ノーだ」と分析した。

専門家は、中国による侵略の可能性に直面しても、米国は台湾の安全の最大の保証人であり続けており、毎年台湾に武器を供給しているとしている。

ノートパソコンから高度な兵器に至るまで、あらゆる製品に必要な半導体チップの供給における世界的リーダーとしての台湾の役割は、多くの西側民主主義国にとって重要な貿易相手国にもなっている。

ロイター通信が引用した業界推計によると、世界最大の半導体受託製造企業である台湾積体電路製造(TSMC)は、アジアで最も価値のある企業の一つであり、世界の超先進チップの9割を占めている。

台湾の「非公式な関係」によるこのような形は、小国との正式な外交関係よりも台湾の安全と経済にとって、はるかに重要であることは明らかだ。

「ドル外交」

しかし、多くの専門家が「ドル外交」と呼ぶ中国政府の圧力により、台湾が主権を維持することは、大きな代償を支払うことにもなっている。中国政府は自国の巨大市場というエサをぶら下げ、アメとムチの両方で多くの小国を台湾から引き離すことに成功し、拒む国を罰している。

ロイター通信によると、2019年、太平洋・ソロモン諸島は外交上の承認を台湾から中国に切り替えたことと引き換えに、中国から850万ドル(約11億円)の開発資金を受けた。

一方、台湾と外交関係を続ける国の中でも最大のパラグアイは、大豆と牛肉の中国への輸出制限という制裁に直面。同国のベニテス大統領は昨年、断交を迫る「巨大な圧力」に抵抗し続けるため、台湾に10億ドル(約1300億円)の投資を公然と呼びかけた。パラグアイでは来月、大統領選挙を控えており、野党候補は台湾との国交断絶を公約に掲げているからだ。

さらに台湾中央通信は先週、ホンジュラスが外交関係を維持することと引き換えに、台湾に対して約25億ドル(約3200億円)の経済支援を求めていたと伝えた。断交を恐れる台湾の足もとを見て、巨額の資金支援を受けようとしている可能性があるとしている。

台湾の野党・国民党議員で、外交・国防委員会の江啓臣委員は、台湾は外交関係維持のため、相手国に対してインフラ援助と開発プロジェクトという名目で毎年約1億ドル(約130億円)を支出していると語った。2020年~21年まで国民党主席を務めた江氏は、「中国の台頭は、われわれの外交にとって非常に大きな懸案事項になっている」と改めて指摘した。

また、与党・民主進歩党の議員で外交・国防委員会の王定宇委員は、台湾は中国の「ドル外交」に対抗しないことを選択しているとし、代わりに民主主義などの共通の価値観を強調することを外交手段にしていると説明。「われわれは外交資源を使って公式な関係を呼び掛けている。人々に直接利益をもたらす人道的および訓練プログラムは提供するが、政府関係者に現金を与えるようなことは決してしない」と付け加えた。
 

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