注目ポイント
中国は26日、台湾と断交した中米ホンジュラスとの国交樹立に関する共同文書の署名式を北京で開催した。中国の秦剛国務委員兼外相は署名式後の記者会見で、「一つの中国」を堅持することが「国際的大義にかなう」と強調した。これにより台湾が外交関係を持つ国は13にまで減少した。ますます活発化する中国の台湾孤立化戦略は、果たして成功しているのか。米CNNは「ノーだ」と分析した。
ホンジュラスが「経済再建」を理由に中国との国交を樹立したことの波紋は、人口1000万人のこの中央アメリカの国という範ちゅうをはるかに超え、中国が世界で影響力をますます強めていることを再確認させた。これは、世界第2位の経済大国である中国と公式な関係を望む国は、台湾との外交関係を断ち切ることを意味する。その結果、台湾と外交関係を結ぶ意思のある国の数は減少している。
ホンジュラスが今回、中国との国交樹立を発表する前、台湾と外交関係を結んでいた国はわずか14だった。1971年に国連から国としての承認を失った時の56から減少し続け、16年の蔡英文総統就任時には14になっていた。そして、残りの国のほとんどがラテンアメリカと太平洋の小国であり、世界の主要国の全てが数十年前に中国に乗り替えていた。
非公式な関係
表向きには台湾が中国の外交戦略に負けているように見えるかもしれない。だが、米CNNは、詳しく見てみると台湾は非公式ではあるが、西側諸国と緊密な関係を築くことで世界での影響力を増していると指摘した。
台北・国立政治大学のレブ・ナックマン政治学助教授は、「いつか台湾が公式の外交関係を持つ国がゼロになれば、実際に何か変わるのか?答えは、それほど多くはない」と言い切った。
例えば、台湾と米国との関係を考えてみる。
米国は1979年に台湾の公式な外交関係を解消した。ところが、非公式の関係は数十年間にわたり変わりなく、近年は強化すらされている。
たとえ正式な外交関係が無くても、ナンシー・ペロシ米下院議長(当時)は昨年8月の台北訪問を実行した。また、現職のケビン・マッカーシー下院議員は4月上旬、蔡氏が中米に向かう途中、米国に立ち寄る際に面会することも明らかになっている。
ロシアのウクライナ侵攻と重ね合わせ、自由主義陣営である台湾への中国からの武力行使の可能性を懸念する欧州諸国は、台湾支持を示唆するような行動をとってきた。ちなみに、欧州ではバチカン市国が台湾を「中国を代表する唯一の国家」として認めていることは広く知られている。
欧州最大の経済大国ドイツは今月、26年ぶりに閣僚が台湾を訪問した。科学技術協力強化のためとして、中国政府が抗議をする中、ショルツ政権はシュタルクワツィンガー教育・研究相率いる訪問団を送ったのだ。
また台湾軍は1月、北大西洋条約機構(NATO)との交流を明らかにし、士官1名をイタリアの国際軍事大学での6か月のプログラムに派遣した。