注目ポイント
2023年3月、創設10周年を迎えたThe News Lensはロゴマークの刷新を行いました。次なる10年に向けたリブランディングの背景と私たちが目指すものを、プロジェクトを担当したビジュアルデザインディレクターが振り返ります。
なぜ新しいロゴが必要なのか?
こんにちは、TNLメディアグループのビジュアルデザインディレクター、ローソー(高嘉宏)です。The News Lensの10周年に向けた新しいロゴマークの開発過程には多くのひらめきや反省があり、記事化に値するような貴重な体験となりました。今回の私たちのリブランディングが、「なぜ」「どのように」「何を」目指して始まったものなのか、お話ししたいと思います。
なぜ新しいロゴを?
みなさんに親しまれてきた従来のロゴは、世界と社会の“脈動”をビジュアライズしたものです。この10年で世界は大きな変革を遂げました。シンギュラリティ(技術的特異点)が近づきつつあり、陰謀論が怪しく渦巻く戦争の時代に、世界で何が起きているのか、その脈動を伝えるというメディアの責務の一端を担い続けてきた私たちは、読者にとって指針となるような、次なる10年に向けたビジョンを打ち出したいと考えました。
あらゆる選択肢から私たちが目指すところは?
荒れ狂う世界情勢の中で、メディアは何を拠り所にするべきか。次の10年に向けた新たなビジョンを生み出すうえで最初の、そして最大の難題への答えを探るため、リブランディングを担当したデザインチームは、「100年続くブランド」「多様性」「包括性」「多世代交流」などをキーワードにブレインストーミングやディベートを繰り返し、無数のストーリーを展開しました。そこから見えてきた方向性を挙げるとーー
●信頼感と情報リテラシーを高めること
●多様性と開放性を重視すること
●あらゆる意見の交差を推進すること
●内外に向けメディアリテラシーを向上させること
広く一般に「何が起こっているか」を伝えるのがメディアであれば、優れたメディアはその出来事のさらに「先」にある影響や、影響の「間」にあるつながりを伝えます。創設から10年を経たThe News Lensは今や、ニュースを伝えるだけでなく、多くのブランドコンテンツを通して読者とともに世界の真実を探究しています。焦点が当たらないところにもスポットを当て、異なる意見のギャップをつなぐ架け橋になること。「視野之外,想法之間」が私たちが目指すところです。
新しいロゴマーク・タイプをどうデザインする?
メディアが読者なしには存在できないように、ネガティブスペース=余白を生かしたデザインも、人の視覚、知覚なしには完成させることができません。今回のロゴマークのリニューアルでは、このデザインアプローチを活用し、The News LensのTとLの間にNを隠しました。それぞれの文字は、大胆さ、創造性、堅実さ、安定性を感じさせるカラーブロックで構成し、三角形には幾何学的な強さやモダンさ、万華鏡、プリズムのイメージを投影することで、私たちが常に多様性を受け入れ、あらゆる確度から物事を見ることができる存在であることを可視化しています。