2023-03-27 流台湾

月イチ連載「季節の『おいしい』を探す台湾市場めぐり」第六回:プロも御用達!台北・濱江市場をぐるりと巡って春の食材探し

注目ポイント

台北在住の料理家でライターの遊佐水亜さんが、台湾各地の歴史ある市場やファーマーズマーケットを舞台に、季節のおいしい食材や台湾らしいユニークなモノやコト、その楽しみ方を紹介する月イチ連載。今回訪れたのは、野菜と果物が中心の屋内型マーケットと、鮮魚店や精肉店が軒を連ねる場外市場から構成された濱江市場。ローカルに愛され、プロの料理人も訪れる地域密着型の市場です。

場外に広がる青空市場を歩くのも楽しい

台湾の有名レストランのシェフをはじめ、プロの料理人たちも足繁く通うといわれる濱江(ビンジャン)市場。MRTの最寄り駅がなく、やや行きづらい場所ではありますが、日々の生活に欠かせない食材豊富なローカルマーケットとして人々に愛されています。

濱江市場 場外の様子

私たち夫婦は、ある日曜の午前中に濱江市場を訪れました。メイン通りを歩いていると聞こえてくるのは、威勢のよい店員さんのかけ声やお客さんの話し声、せまい道をバイクや自転車が行き交う音…。台湾らしい朝ごはんや小吃(シャオチー)の屋台も多く、眺めているだけでお腹がすいてきます。

濱江市場 場内の様子

春野菜や旬のフルーツがよりどりみどり

濱江市場は、野菜と果物が中心の屋内型マーケットとまわりに広がる場外市場から構成されています。青果店に並ぶ食材のなかでも、ひときわ目をひくのはやはり春野菜。たけのこ、アスパラ、春にんじん、そのほか​​山蘇(サンスー)と呼ばれる台湾野菜なども見かけました。

春の食材

お店によって得意分野が異なるのも、濱江市場のおもしろいところ。レタス・ハーブ類を扱うお店や香味野菜だけを販売するお店、洋食またはエスニック料理に用いる珍しい食材がそろうお店などさまざまです。

ビワ

「果菜市場」と呼ばれる建物のなかの半分はフルーツエリア。いちごやスモモ、マンゴー、パッションフルーツなどに加えて、この時期になると増えてくるのがビワ! 台湾東部の「太麻里(タイマーリー)」をはじめとする名産地から直送されたビワの果実は、あざやかなオレンジ色でおいしそう。私たちもひと箱買い、「追熟させてから食べるとさらに甘くなるよ」という店主さんのアドバイス通り、1週間ほどおいてからいただきました。

クオリティの高い海鮮や肉類もそろう

場外市場のゾーンには鮮魚店や精肉店が軒を連ね、いけすに入った海鮮、お刺身にして食べられる魚や甲殻類、さばいたばかりの鶏肉や豚肉、そのほか鮮度のよい食材が手に入ります。店主さんにつくりたい料理や調理法を伝えて、おすすめを教えてもらうのも楽しいものです。

あさりなどの貝類

台湾でもこの時期はおいしい貝類が出まわります。天然ものの大粒はまぐりやあさり、黄金蜆と呼ばれるシジミ、マテ貝やミル貝など日本ではあまり見かけない種類もいっぱい。

ちなみに市場の一角には、複数のレストランとスーパーマーケットが併設された人気スポット「上引水産」があります。ここでビール片手にお寿司や串焼きなどをつまんだり、できたてのお惣菜をテイクアウトしてその場で味わったりするのもおもしろいかもしれません。

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