注目ポイント
今週、ロシアを訪問した中国の習近平国家主席と、招待したプーチン露大統領のそれぞれの狙いはなんだったのか。両首脳は今回の会談で、北大西洋条約機構(NATO)や米主導のインド太平洋戦略などで中ロ包囲網が強化されることに反発し、米欧に対抗する姿勢を鮮明にした。米CNNは22日、両国の連携には懐疑的だとしながらも、互いを利用しながら、米欧主導ではない新たな世界秩序の構築を目指していると解説した。
米CNNは、習近平国家主席とプーチン大統領は〝ある最優先事項〟で一致しているという。それは「西側の偽善に基づく国際秩序」の信用をおとしめ、さらには崩壊させることだという。中露の関係は対米という目的を共有する〝呉越同舟〟なのだ。
ソ連崩壊以来、プーチン氏は何年にもわたり西側に対抗する新たな国際システムの構築を試みたが、実現できなかった。バイデン政権の国家安全保障戦略では、そのような秩序を構築できるだけの経済、外交、軍事、技術力を持つ唯一の国は中国だとしている。
実際、習氏はロシアへの訪問が米欧の力を弱体化させる意図を持つことを隠そうとはしなかったとCNNは指摘する。ロシアを去る前、習氏は声明の中で、「われわれの世界は、複雑で絡み合った伝統的および非伝統的な安全保障上の課題や、覇権、支配、いじめによる破壊的な行為に直面している」と警告した。これはまさに、西側の主張だ。
〝便宜上の結婚〟
国家安全保障会議のカービー戦略広報調整官は21日、CNNとのインタビューで、戦略的利害関係をより簡潔に説明した。「(中露関係は)便宜上の結婚であり、愛情のある結婚ではない」とし、「彼らはゲームのルールを変えることが目的で、互いに利用できるとみている」と述べた。
新たな国際秩序を目指す、中国のような権威主義的な資本主義国家モデルは、中国が関係を深めようとするアフリカや中米などの一部の国にとって魅力的に映る可能性はある。例えば、南アフリカのような「グローバル・サウス」(南半球に多いアジアやアフリカなどの新興国・途上国の総称)の一部の国は、米欧に反発する中国に共感しているからだという。
元在中国ゲーリー・ロック米国大使は21日、習氏とプーチン氏の会談は米国の権力に対する両国の敵意に根ざしたものだと指摘した。
「中国は、西側の大国や西側の秩序に立ち向かい、一種の新しい勢力としての地位を確立しようとしている。それでも中国や、経済的、政治的に成長しつつある国の多くは、米欧が定めた規則に従わなければならないと感じている」とロック氏はCNNの「Inside Politics」でそう説明。「ただ、そういったルールに対して自分たちも発言権を持つべきだと感じている。彼らは世界情勢の多くの場面で、米国と欧州諸国の強引さと優位性に憤慨している」との見解を示した。
一方、中国とロシアの国家モデルは独裁と脅迫に依存し、ロシアは国際社会からますますのけ者になりつつあり、中国の国家主義的アプローチは一部の小国も懸念していることを考えると、両国が連携して国際的な外交攻勢を仕掛けたとしても、効果的であるかどうかは疑問だ。