注目ポイント
悪質なクレームを突きつけるカスハラ(カスタマーハラスメント)が台灣の花屋で問題になっている。その多くは理不尽な要求だが、台灣の花屋を悩ませ続ける根深い問題も見えてくる。
日本であれば自然のものはそのまま受け入れ、花の持ちが良い方が重要だと考える人が大多数だろう。台湾でももちろん、「自然のものに人間が手を加えて品質をわざと落とすのはおかしい」という意見があったが、大多数の人は花の成長に関心がなく、お金を出して買う商品、特に贈り物ならば完全な状態で提供してほしいと考えていたようだ。消費者の花の知識の向上も、花屋にとって重要な仕事の一つであるのかもしれない。
値段の問題
花の値段は、同じ花であっても花屋によって価格差が大きいことはご存知だろうか。日本では都心の百貨店の花屋ではバラが1本700円、少し地方の駅ナカの花屋では500円、さらに地方の花屋では100円など、地域による値段の差がかなり大きい。また、その店のブランド価値も、花の値段に大きく影響している。
台湾でも同様に値段はまちまちだが、地域差よりも品質の差によるところが大きいように感じる。同じ品質のものはブランド店を除いて大体同じ価格帯だが、そもそも花の品質が花屋によって大きく異なる。当然、品質が違えば値段も違う。
たとえば、私の店では赤バラは、輸入バラか台湾産の1級品(最上級)または2級品しか使用しないと決めている。長年の経験から3級品以下のバラは著しく品質が落ち、お客様に満足できる商品を提供できないと考えているからだ。一方で、品質より値段重視の古い花屋などでは、4級品しか置いていないことが多い。当然、私の店のバラの方が値段が高くなるわけだが、台湾ではこれもクレームになってしまう。
「市場では20本〇〇元で売っていたのに、高すぎる」「あそこの花屋は1本〇〇元で売っているから、あなたたちも安くしなさい」と、こうなるわけである。こういうクレーマーには、花市場と花屋の違い、花の品質の違い、花の産地の違いなどを事細かに説明する。だが、正直なところ納得していただくことは難しいと半分諦めている部分もある。いくら説明したところで、お客様は1級品と4級品の違いが分からなかったり、値段に固執し花の持ちまで理解できなかったりするからだ。
それでもお客様に花に対する知識を付けていただくために、私はSNSで品質の違いを解説したり、来店された方に花の豆知識を教えたり、学校機関で花の講習を行っている。こういう地道な継続が消費者の花の知識の向上となり、結果として花の普及に繋がっていくと信じている。
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