2023-03-23 流台湾

台湾の花屋を悩ませる“カスハラ”には理由があった?

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注目ポイント

悪質なクレームを突きつけるカスハラ(カスタマーハラスメント)が台灣の花屋で問題になっている。その多くは理不尽な要求だが、台灣の花屋を悩ませ続ける根深い問題も見えてくる。

台湾人は日本人よりもクレーマー率が高いとよく言われている。文化の違いによるものであるが、納得するまで意見を通したり、思ったことを遠慮せずに言ったり、お金の絡むトラブルがあると徹底的に討論したりする。実際に台湾で生活をしていると店員と客が喧嘩している光景を目にすることもある。ただ、最近のチェーン店や新しい店では、そのようなトラブルはあまりないようだ。

花屋においても、もれなくクレーマーは存在する、もちろん、店側に不手際があれば謝罪し、返金や再送などの対応をするのは当然と思うが、悪質なクレーマーである所謂「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が台湾でも近年問題となっている。今回は、そんな台湾の花屋におけるクレームについてご紹介していく。

一番多いクレーム「花が枯れている」

「花が枯れている」というクレームは、世界中の花屋で起こりうる。もちろん本当に花が枯れている場合もあるが、大抵の場合は枯れていない。まず、このようなクレームが一番多い理由は、圧倒的に消費者の知識不足だ。たとえば、ピンクや白のバラは傷が目立ちやすく、何十枚もある花びらのうち数枚は多少の傷があるのが普通だ。市場でも無傷のバラは存在せず、花屋は目利きによって品質の良いバラ、最も傷が少ないまたは目立ちにくいバラを仕入れている。

だが、花びらが1枚傷ついていただけで全額の返金を求められたり、再送を求められることもある。結婚式の高額なブーケなどは傷のないものを極力選んで制作はするが、通常の花束で全ての花びらの傷をカバーできるかというと、そんな商品を作れる花屋はおそらく存在しないだろう。「自然のものなので」といくら説明しても、「傷があれば商品価値はゼロだ」と言われることもしばしばあり、泣く泣く対応している花屋は少なくない。

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バラの花びら

また、バラの花の外側には萼(がく)という緑の部分があり、萼が花びらになりかけでマーブル色になったり、花びらの先端が緑がかったものも存在する。バラの成長過程で起こる正常な変化だが、これについても「枯れている」とクレームを受けることが多々ある。外側の花びらを全部剥いてしまう店もあるが、開花速度が速くなり結果として花の鮮度が落ちてしまうため、花びらを剥かない花屋が多い。

ところで、台湾でそこそこ人気の花屋が自身のSNSで「自分の花屋では花びらは剥かない。これに納得できない人は買わなくていい」と言及したところ、大炎上してしまったことがあった。炎上の理由は「花屋なら綺麗な状態で提供するのが当たり前だ」という意見が非常に多かったからである。

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