2023-03-18 台湾

タイワンマスの野生個体数、過去最多の約1万5千匹 95年の60倍超に/台湾

注目ポイント

保護に向けた取り組みが続けられている台湾固有の淡水魚、タイワンマスの野生個体数が、昨年の調査で1万5374匹となり、1990年代の取り組み開始以来、過去最多になったことが分かった。

タイワンマスの野生個体数、過去最多の約1万5千匹 95年の60倍超に(雪覇国家公園管理処提供)

(苗栗中央社)保護に向けた取り組みが続けられている台湾固有の淡水魚、タイワンマスの野生個体数が、昨年の調査で1万5374匹となり、1990年代の取り組み開始以来、過去最多になったことが分かった。中部・苗栗県の雪覇国家公園管理処が15日発表した。95年に200匹余りに落ち込んだ個体数が、長年の努力により、60倍以上に増えたと報告している。

タイワンマスはその希少性から絶滅危惧種とされ「国宝魚」とも呼ばれる。同処の報道資料によると、主な生息地とされる中部・台中市を流れる七家湾渓や合歓渓では安定して生息している他、別の複数の河川でも活動が確認されたという。

同処は今年10月に台中市の山間部を流れる中央尖渓にタイワンマスを放流する予定。放流地点は山深く、15キロの道のりを1泊2日かけて歩く必要があり、安全にタイワンマスを運ぶため、誕生してから30日に満たない発眼卵を放流地点の石と石の隙間に付着させる初めての方式で放流するとしている。

関係者は、これまでは稚魚を放流していたものの、水中の酸素量を管理する必要があり、一度に運べる量にも限りがあったと語る。発眼卵の状態で運べば、生存率が高められ、自然繁殖に近い環境づくりに寄与すると説明。国内の自然再生技術開発の新たなページが開かれるとしている。

(管瑞平/編集:齊藤啓介)

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