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米国、英国、オーストラリア3か国の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」は13日(日本時間14日)、米西部サンディエゴで首脳会談を開き、オーストラリアへの原子力潜水艦導入計画を発表した。同国が2030年代に米国の原潜を最大5隻調達し配備し、台湾周辺や南シナ海で海洋進出を続ける中国への抑止力強化を図る。
バイデン米大統領、英国のスナク首相、オーストラリアのアルバニージー首相の対面会談は21年9月のオーカス創設後初めて。計画では、30年代前半に米海軍のバージニア級攻撃型原潜をオーストラリアが3隻購入。必要に応じ2隻を買い足す。同国は南シナ海や台湾近海、沖縄県・尖閣諸島周辺で長期間の作戦行動が可能になる。
原潜には通常兵器のみを搭載し、核技術は推進力だけに使う方針。アルバニージー氏は会談後「核拡散防止条約(NPT)上の義務を引き続き順守する」と述べ、核兵器保有の意図を否定した。
米CNNは、米中関係がここ数週間に起きた一連の出来事で、より緊迫したと指摘。中国の偵察気球の衝撃的な撃墜から、中国がロシアへ武器支援を検討していることが発覚するに至るまで、中国の習近平国家主席による権力集中と、その中国がもたらすリスクをめぐる米国での党派を超えるコンセンサスが築かれる中、全てが起きていると伝えた。
米当局者は米中関係がより緊迫していることを認め、習指導部による最近の国内に向けた意味のない大げさな声明文などは、2国間関係を示すものだという。そのためバイデン政権は、中国の世界的影響力や軍事行動に対応するために13日の潜水艦導入計画のような対策を追及しながらも、多面的な中国戦略には対中関係正常化への取り組みが含まれているという。
「今日、われわれは歴史の変曲点に立っている。抑止力を強化し、安定を促進するための努力が、今後数十年間の平和維持のため、われわれの共有する未来が託されるインド太平洋地域で、米国はこれ以上のパートナーを求めることはできない」とバイデン氏は13日、英豪の首相の隣に立ち、3か国の同盟関係についてそう語った。
米政府高官によると、中国との対話を再開させる動き、特に偵察気球事件後、軍幹部間の対話を再開する取り組みは進展の兆しがないという。
米当局者は、「全く逆に、中国は現時点で、こうした対話やメカニズムの確立を実際に進めることを拒んでいるようにも見える」とし、「必要なのは政府高官の間、軍の間、両側のさまざまな危機管理者の間で、偶発的または単に誤解された何かが発生した際に対話できる適切なメカニズムだ」と述べた。
一方、米英豪による軍事同盟の13日の会合は、インド太平洋における海洋支配と台湾への侵攻をもくろむ中国に対抗することを明白に意図したものだ。オーストラリアは約1年半前、オーカスが発足した際の予測よりも早く、次の10年の初めには、少なくとも3隻の原子力潜水艦を受け取り、その間に米海軍の攻撃型原子力潜水艦USSミズーリのような艦船がオーストラリアの港を巡回する。