注目ポイント
試合、試験、ギャンブルなど大切な勝負事の前に日本人は豚カツを食べて絶対に「勝つ!」と気合を入れます。中にはビフテキと豚カツで「テキにカツ(敵に勝つ)」と、ダブルでゲン担ぎをする人もいます。日本のプロ野球選手は、ヤクルトを飲んだりハムを食べたりして試合に臨むそうです。台湾にもゲン担ぎはあります。対日本戦の前や観戦中は寿司を食べ、みそ汁を飲むのです。今WBCが台中で行われていますが、台湾の野球ファンは、キューバ、オランダ、イタリア、パナマ戦それぞれで、どんなゲン担ぎをしたのでしょうか。対戦国別に見てみましょう。
ちょっと困った対キューバ戦
台湾では野球に限らず、色々なスポーツの国際試合で自国選手やチームを応援するために、熱烈なファンはその国を代表する料理を食べます。「食べる」は中国語で「吃(ツー)」で、「吃定(ツーティン)」というのは「虜にする、振り回す」という意味になります。その相手国より上に立って必ず勝つという意気込みやゲン担ぎを表します。今回のWBCでは、イタリア戦でイタリアの代表料理ピザの上に台湾の特産物パイナップルをトッピングしたハワイアンピザと炭酸飲料「維大力(これはウェイターリーと読み、イターリーに発音が少し似ている)」を、またパナマ戦ではパナマコーヒーを「吃定」して台湾代表チームを応援しました。今日12日は強敵キューバが相手です。と、そのとき、ファンは、ハタと困りました。キューバを代表する料理って何だ? いくら考えてもわかりません。いっそのことキューバ産の葉巻でも吸おうかという人まで出てくる始末。結局、新北市の侯友宜市長はキューバサンドイッチをほおばる写真を自身のフェースブックにアップしました。
ここで、読者の皆さんにクイズです。
対オランダ戦で台湾ファンはゲン担ぎに何をしたでしょうか?
答えはこの記事の最後の段落にあります。
対日戦と対韓戦、伝統のゲン担ぎ
非常にわかりやすいゲン担ぎもあります。日本対台湾の野球の試合では熱烈ファンは寿司を食べて味噌汁を飲みます。対韓国戦では、ご想像通り、キムチを食べて台湾チームを応援します。でも、残念なことに最近は、去年米国で行われた世界大会で第3位になった福林小学校野球チームを除いて、台湾代表は国際試合であまりいい成績を残せていません。寿司を食っても日本に勝てず、キムチを食っても韓国に勝てず、いっそ当日わざと相手国の料理を食わずに応援したら勝てるかも、でももしかしたら反対に食う量が足りなかったのかも、なんて声もチラホラ。

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オランダ戦でのゲン担ぎとは…
対オランダ戦でのゲン担ぎは三つあります。一つ目は目玉焼きです。目玉焼きは中国語で「荷包蛋」、「オランダ」は「荷蘭」と言います。「荷」という漢字が共通していることからゲン担ぎに選ばれましたが、一文字だけではちょっと弱いですね。二つ目は、食べ物ではありませんが、多くの方が予想した通りチューリップです。口にチューリップをくわえた絵がSNSにアップされています。そして、最もインパクトがあって多くのファンに支持されたゲン担ぎが「鄭成功」です。ファンは「鄭成功」の肖像画を球場で掲げたり、SNSにアップしたり、Tシャツにプリントしたりしてオランダを「吃定」しました。

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