2023-03-16 ライフ

花の需要が少ない台湾で、花屋はどうやって儲けているのか?

注目ポイント

台湾の花屋は儲かるのか? 数少ない大手花屋は、日本と比べものにならないほど華やかな結婚式やイベント事業で利益を確保し、個人経営の小規模な花屋は昔ながらの店頭販売と若年層をターゲットにしたネット販売に二極化している。一方、花業界という括りで見れば、最も儲かるのはフラワーレッスンの講師だが、そこには台湾ならではの懸念点もある。

また、古い花屋は店頭販売に完全に振り切っている場合が多い。客層はお供えの花を買いに来る年配者が多く、百合や菊などのスタンド花もよく売れている。古い花屋は持ち家兼店舗の場合が多く、家賃も人件費も発生しないため利益重視というよりも長年の習慣から店を開けている感じだ。この二極化は、日本の花屋業界にも共通するところがあるのかもしれない。

 

© Shutterstock / 達志影像

その他の儲かっている花ビジネス

花業界という括りで見た場合、台湾の花業界で最も儲かるのはフラワーレッスンの講師であろう。台湾も日本同様に様々なフラワーレッスンの教室があり、花屋でレッスンを開催しているところもあれば、アトリエとして運営しているところもある。

レッスンの良いところは、花のロスが少ないことである。店舗型の花屋をやっていると、いつ来るか分からないお客様のために、たくさんの花を店内に毎日用意しなければならない。仮に誰も来なかったとしても、花の消費期限は短いため数日で商品価値は失われ全てロスとなってしまう。だが、レッスンの場合は生徒数や使用する花の本数などを予測した上で仕入れができるため、ロスが少ない、またはゼロにすることができる。そのため利益率は必然と高くなるのだ。

また、日本では教室を開くにも様々な経験、経歴、下積みがなければ講師は務まらないと思われているが、台湾では花を少し習っただけでもすぐに講師としてデビューする人が少なくない。私の知り合いには、生徒でありながら講師もする人がいる。その日自分が習ったレッスンを、次の日に違う生徒たちに講師として教えているのだ。

最初にこれを聞いた時は大変驚いたのだが、講師としての才能と、花の技術力やデザイン力は必ずしも比例しないことが、台湾に来てよくわかった。私自身は20年以上花に携わってきているが、レッスン代は多くの台湾人に花の魅力を継続して楽しんでもらいたいという理由から安めに設定している。だが、この知り合いは花業界に携わって間もないのにもかかわらず、私のレッスン代の3倍以上の金額設定をしており、それがビジネスとして成り立っているのだ。

花の普及という意味では、多くの台湾人に花に触れ合ってもらえればいいと思う一方で、経験の浅い講師が間違った内容を広めてしまっていることには多少の懸念がある。ただ、こうして自分の習得した知識をすぐにビジネスに結びつける合理的な考えと行動力は、ある意味台湾の良いところでもあると常々思う。

 

オススメ記事:

語学は?学歴・職歴は?台北の日本人花屋店主が紹介したい“現地採用”のこと

日本も見習うべき? おおまかな情報しか共有されない台湾花市場で、それでも取引がスムーズに進む理由
 

あわせて読みたい