注目ポイント
「芝居は人生の如く、人生は芝居の如し」と言われる。ドラマを通して私たちは共感し、登場人物に自分の姿を重ねる。ひとつの国の文化や時代もドラマを通して表現できる。 台湾のはさまざまなプラットフォームを通して海外でも見られるようになり、この土地の物語を世界へと伝えている。
『麻酔風暴』は高く評価され、瀚草はセカンドシーズン制作の機会を手にした。「同じことは繰り返さない」ことをモットーとする曾瀚賢は国際市場に目を向けていた。ドラマを輸出するには制作のスペックを高めなければならないことを知っている彼は、映画の資金集めの方法をテレビドラマ制作に導入した。
こうして1話あたり600万元の予算を得て『麻酔風暴2』はヨルダンでのロケを実現し、国境のない医師団の物語を描いた。衝撃的な爆発シーンもある。各プラットフォームで配信されると、高い視聴率をたたき出した。『麻酔風暴』が初めて試みた製作費調達と版権販売のモデルは、台湾ドラマのスケールを拡大するものである。

社会的テーマを大きく扱う
多様性を受け入れる台湾社会では、映像制作者も大いに創意を発揮でき、硬い社会的テーマをおもしろいドラマにしようとチャレンジする。
2018年に放送された『你的孩子不是你的孩子(子供はあなたの所有物じゃない)』はSF的な部分もあるドラマで、Netflixでも同時に配信され、配信前の予告編だけでものべ100万人が視聴した。教育をテーマとした従来の温かい表現を抜け出し、奇想天外な発想で物語が進んでいく。例えば、時間を巻き戻すリモコンなど、SF的なモチーフがあり、愛情という名で人を追い詰める家族関係や、成績優秀であることを追求する社会の価値観などを扱い、思わずはっとさせられる。このドラマが世界のプラットフォームで配信されると、内外の視聴者の間で盛んに議論され、台湾ドラマの注目度も高まった。
こうして台湾ドラマの一作品が注目されると、多くの人がこの分野に関わろうとする。例えば、出資者の役割を果たしてきた大慕影芸も、ストーリーテラーの列に加わった。2019年の初めての作品『我們與惡的距離(悪との距離)』の物語は、無差別殺人から始まる。被害者の家族や加害者の友人らの心の変化を描き、またマスメディアの職業倫理や精神疾患を持つ者に対する型にはまったイメージ、死刑存廃などの人権問題にも触れ、社会問題を考えさせるものとなった。
従来は硬いテーマとされてきた社会問題でも、多くの視聴者をひきつけることがある。『我們與惡的距離』が配信されると、テレビやネットでも高い視聴率を上げ、最終回がストリーミングサービスのCATCHPLAYで配信されると、400万人が視聴した。このドラマは金鐘賞の14部門にノミネートされ、硬い社会派ドラマでも、質が良ければ高い視聴率を取れることを証明した。
