2023-03-09 政治・国際

WHOによる「パンデミック宣言」から3年 米国では今もまだコロナ死者が止まらない

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注目ポイント

世界保健機関(WHO)が、新型コロナウイルスの感染拡大をパンデミックの状態と見なしてから11日で丸3年。世界の死者は680万人以上、感染者は6億8000万人超となっている。なかでも世界最大の犠牲者114万人を出した米国では、この冬は感染者数が急増する事態にはならなかったものの、1日数百人が死亡し、累計は増え続けている。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は今週、「米国のコロナ死者数 なぜ止まらないのか」との見出しで、今でも1日当たり数百人が亡くなっている現状を伝えた。死亡証明書のデータによると、その多くは高齢者であることは以前と変わらず、心臓や肺などに基礎疾患があるケースが多いという。

同紙によると、医師や公衆衛生の専門家は、ワクチンや過去の感染で免疫による防御力が強化され、多くの人にとってリスクは低下したものの、ウイルスの感染力が依然として強いため、高齢者を中心としたリスクの高い人がウイルスに感染し、死亡につながっていると分析。ワクチンの追加接種率が伸び悩んでいることも、高リスク者がウイルスにさらされる原因になっているとしている。

「州・準州疫学者会議」(CSTE)代表のジャネット・ハミルトン氏はWSJ紙に、「まだ感染しやすい人がいる」と指摘する。

コロナ感染が直接的もしくは間接的な死因として記載された死亡証明書を米疾病対策センター(CDC)が週ごとに集計したデータを見ると、昨年11月~今年1月の3か月間のコロナ死者数は、1日当たり平均で約400人だとしている。

1日の死者数は前年の同時期は約1700人、2年前の同時期にはさらに多く約2800人で、状況は大幅に改善している。それでも、コロナ感染は昨年も20年と21年と同様、心臓病とがんに続いて死因3位にとどまる見込みだ。

同紙はCDCのデータとして、新型コロナによる死者は高齢者に集中しているとし、「最近の数週間では、75歳以上の高齢者が、新型コロナによる死者の約7割を占めた」と伝えた。2年前の冬に死者が急増した際のピークは64%で、2021年のデルタ株流行時には約3割程度だったという。デルタ株が猛威を振るっていた時期は高齢者だけでなく、多くの世代で死者が急増していたことになる。

一方、米経済誌「フォーブス」は6日、新型コロナ流行に伴い、予測を超える死者数を示す指標「超過死亡」により、パンデミックが世界の平均寿命を大幅に縮めたと報じた。

同誌は、「1959年に始まった中国での飢饉以来、世界的に平均寿命がこれほど急激に短くなったことはない」とし、パンデミックが始まった20年と21年に連続して世界の平均寿命が縮んだのは中国の飢饉以来で、もし22年で3年連続になれば、前代未聞の事態となるという。

特に米国では平均寿命の急激な縮小が続いている。「パンデミック以前から米国の平均寿命は10年近く延び悩んでいた。2021年の米国人の平均寿命は76.1歳で、これは最長となった2014年の78.9歳から2.8歳短くなっている」とし、平均寿命は現在、1996年の水準に戻っていると報じた。

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