2023-03-08 政治・国際

激戦続く要衝バフムトでワグネルが露軍に不満 「弾薬供給されず、軍司令部へも立ち入り禁止」

© Photo Credit: GettyImages

注目ポイント

ウクライナのシルスキー陸軍司令官は今週、ロシア軍の攻勢で激戦となっている東部ドネツク州の要衝バフムトでの戦闘が、これまでで「最も緊迫した局面」を迎えていると警戒感を示した。一方、最前線に多くの戦闘員を送っているロシアの民間軍事会社「ワグネル」のトップは、露軍からの銃弾の補給がなく、軍司令部との面会も拒否されるなど、両者の溝がさらに深まったことを明らかにした。

ワグネルの戦闘員の多くは、ロシア国内の服役囚を恩赦の替わりにワグネルへの入隊を条件に出所させた者。ところが、十分な訓練を受けず、装備も不十分なまま最前線に送り込まれることから、ウクライナ軍のターゲットとなり、〝犬死〟する戦闘員が後を絶たないという。

米紙ワシントン・ポストは、あるウクライナ兵の話として、ワグネルの戦闘員は「肉弾戦のように前線に放り込まれている」とし、戦術があまりにイレギュラーかつ予想外のため、ウクライナ軍は戸惑い苦戦していると伝えた。

また、ロシア側は人海戦術で次から次へと部隊を最前線に送り込み、双方で死傷者が増え続けているという。「どういった戦術を使うのか予測できる分、ロシア正規軍の方が戦いやすい」とウクライナ兵は同紙に明かした。

同紙によると、戦前のバフムトは人口約7万人の市だったが、すでにほぼ全域が焼け野原になっている。

先週バフムトを視察した、米政府系研究施設「海軍分析センター」の軍事アナリスト、マイケル・コフマン氏は6日、ウクライナ軍の「バフムトでも粘り強い防衛は、ロシア側の人員と弾薬を削り取ることで、多くを達成した」とツイートした。

だが、コフマン氏は、将来の攻撃のために軍隊と資源の節約を考える時期が来たとし、「このままの戦略では、これまで得た成果が目減りし、より重要な作戦の成功を妨げる可能性がある」と指摘。「砲兵の弾薬不足、し烈な通信回線の奪い合い、そして不利な地形での消耗戦から、この戦いは力としてのウクライナの優位性を発揮できない」と警告した。

 

オススメ記事:

ロシアの侵攻で韓国の軍事産業が急成長尹大統領「米露仏に次ぐ世界4位目指す」

米在台協会のトップにローゼンバーガー氏 国家安全保障会議の前中国担当上級部長


 



 

あわせて読みたい