2023-03-03 政治・国際

フィンランド議会がNATO加盟法案を可決 親露オルバン政権のハンガリーも批准支持

© Photo Credit: GettyImages Finnish Prime Minister Sanna Marin

注目ポイント

フィンランド議会は1日、北大西洋条約機構(NATO)加盟に関する法案を賛成多数で可決した。ウクライナに侵攻したロシアと長大な国境を接するフィンランドでは、4月に議会選が控えており、マリン政権は早期加盟に向けて手続き推進を図ってきた。一方、トルコ同様、北欧2国の加盟に難色を示していた親ロシア・オルバン政権のハンガリーでも、ようやく批准手続きが始まった。

フィンランドは昨年5月、スウェーデンと共にNATO加盟を申請。加盟にはNATO全加盟国30か国の批准が必要だが、トルコがフィンランドの承認を示唆する一方、スウェーデンには慎重姿勢。マリン政権は同時加盟を目指す考えを示すものの、先行する可能性も取りざたされている。

ロイター通信によると、ハンガリーのノバク大統領は1日、スウェーデンとフィンランドの加盟申請について、国内の議員が「可能な限り早期に」批准することを希望すると述べた。

ハンガリーメディアによると、同国議会はこれまで、欧州議会(EU)からパンデミックの復興支援を得るため、法制審議などを優先していたという。だが、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、NATO強化が迫られる中、他の加盟国からもハンガリーに対し、批准手続きを早めるよう促されていた。

その結果、今週になってようやくハンガリー議会では、加盟申請に関する協議が始まり、オルバン首相率いる右派与党「フィデス・ハンガリー市民連盟」が批准を支持する意向を示した。

ハンガリーは、ロシアの天然ガスと原油にエネルギーの多くを依存し、ロシア国営原子力企業ロスアトムによる原子炉2基新設の建設計画も進んでいる。さらに昨年、4選を果たし、強権政治を進めるオルバン首相は、ロシアのプーチン大統領と親密な関係にあるとされ、批准手続きがなかなか進まないこととの関連も取り沙汰されてきた。

そんな中、オルバン氏は先週、2国の加盟に初めて懸念を表明。両国がハンガリーの民主主義と法の支配について「真っ赤なうそ」を広めていると非難した。ただ、オルバン氏は両国の加盟については支持するとした上で、「ハンガリーがNATO加盟国でいることは重要だが、わが国はウクライナに兵器を提供せず、ロシアとの経済的関係を断つこともない」(ロイター通信)とし、同国独自の姿勢を強調した。

NATO加盟をめぐっては、ハンガリーとトルコを除く28か国は既に批准。トルコのエルドアン大統領は、テロ集団の一員と見なす人物をかくまっているとして、スウェーデンの加盟に反対している。

ノバク大統領はフェイスブックで、「これは簡単に解決できる技術的な問題だと考える人もいる。しかし、そうではない。重大な結果を伴う複雑な決定であるため、慎重に検討しなければならない」と投稿。続けて、現在の状況を考えればスウェーデンとフィンランドのNATOへの加盟は正当化されるとし、可能な限り早期に議会が賢明な決断を下すと信じていると述べた。

⎯  続きを読む  ⎯

あわせて読みたい