2023-03-02 政治・国際

生産国にもチョコレートの利益を カカオ豆加工に力を入れるコートジボワール

注目ポイント

シリーズ アフリカから見るカカオ、 エピソード 5 カカオ豆の生産、輸出はコートジボワールの主要産業だが、利益は少ない上に不安定だ。政府は加工部門を強化し、チョコレート産業から安定した利益を国にもたらそうとしている。

現在この工場ではカカオマスしか生産していないが、「工場の準備が完全に整えばココアバター、ココアケーキ、ココアパウダーも生産して国際市場に売り込むつもりだ。チョコレートの調温もできるようになりたい」とトバ氏は語る。

カカオの半製品は提携企業のフランスのToutonグループや米KSW Globalを通して米国、欧州、アジアのチョコレートメーカーに卸される。

ヨプゴンにある生産能力5万トンの新工場にもTrascaoが手掛けた。2020年9月の式典でワタラ大統領は自ら礎石を据え、この工場は「付加価値やコートジボワール人の雇用だけでなく、国家予算も生み出す。我が国で投資はすでに行われているが、このプロジェクトにより投資額は大幅に増えるだろう」と述べた。

式典に参加した要人の中には中国大使館の代表団の姿もあった。中国はこれまでに2160億CFAフラン(約475億円)を融資し、コートジボワールのカカオ加工における主要出資者となった。この融資金は倉庫2棟の建設にも充てられる。倉庫の収容力は合わせて30万トン。需要が増えた時に高価格で販売できるようにカカオ豆を保管する。

その見返りとして、中国はコートジボワール産のカカオ豆を優先的に入手できる。Transcaoの2カ所の工場で生産される製品の40%が、中国企業のために確保される。さらに建設工事の監督業務は中国の大手国有企業である中国海誠工程科技股分有限公司の子会社、中国軽工業設計工程有限公司が受注した。中国の融資によりTranscaoの加工能力が10万トン増加することで、コートジボワールの全加工能力は14%増、今年の第4四半期に予定されている工場が稼働すれば、国内加工能力は80万トンを超えると見込まれている。

構造的変化

国際ココア機関(ICCO)は西アフリカのカカオ加工能力は今後も向上すると予測する。

「税の優遇措置、国が規制する国内市場、雨季に収穫された豆の加工への補助金が主な政策手段だ」とICCOの広報担当者カルロス・フォラーナ氏は話す。

コートジボワールの政策は世界のカカオ加工品のシェアに構造的変化を起こしている。特に利ざやの少ない半製品で顕著だ。アフリカのカカオ加工品のシェアは2021/22収穫分で8%上昇した。一方、欧州はカカオ摩砕量で世界一を維持しているが、成長率は2.3%にとどまった。ただし、成長が鈍いのはウクライナ戦争によるエネルギー価格の高騰が影響しているかもしれない。2022年9月発表のICCO四半期レポートはそう指摘する。

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