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2023-03-02 政治・国際

生産国にもチョコレートの利益を カカオ豆加工に力を入れるコートジボワール

注目ポイント

シリーズ アフリカから見るカカオ、 エピソード 5 カカオ豆の生産、輸出はコートジボワールの主要産業だが、利益は少ない上に不安定だ。政府は加工部門を強化し、チョコレート産業から安定した利益を国にもたらそうとしている。

ワタラ氏の公約は国内のカカオ加工への投資を奨励するという政府の既定路線に基づいている。コートジボワールは2017年、国内の加工部門への投資の増加させるため、スイスのバリーカレボー(本社・チューリヒ)や米大手カーギルなどの多国籍加工メーカーに対し財政的に優遇する政策を再導入した。5年以内の施設拡張を約束した企業には、カカオ加工品の輸出関税を一律14.6%からココアバター11%、カカオマス13.2%、ココアパウダー9.6%に引き下げた。

誘致は成功した。高級チョコレートとカカオ加工品を扱う世界有数のメーカーだと自負するバリーカレボーは、子会社Société Africaine de Cacao(SACO)を通じ、約20万トン近いカカオの加工能力を有するコートジボワール最大の加工業者となった。2019年には、5500万フラン(約79億円)を5年間にわたり投資し、同国での加工能力を40%増強する計画の一環として、南大西洋沿岸に位置する最大都市アビジャン近郊で加工工場を始動させた。

コートジボワールのカカオ加工部門はバリーカレボー、米カーギルそして2015年に米大手穀物商社ADMのカカオ豆事業を買収したシンガポールのオラムが独占してきたが、同国は新たな投資、特にアジアからの投資の誘致に熱心だ。欧州連合(EU)と結んだ経済連携協定(EPA)が2016年に発効したことが理由の1つだ。武器弾薬の例外を除き、EUはコートジボワールとガーナからの全輸入品に上限なしの100%の免税を認可している。

さらに優遇政策として、最初の5年間は法人税0%(次の5年間は通常の税率の50%免除)、さらに特定の加工機を輸入する際の関税全額免除などを提示し、カカオの加工工場への投資を誘致している。
 

中国の参戦

コートジボワール政府の加工産業進出は、主に同国のカカオ委員会が設立したTranscaoという特別目的事業体(SPV)を通じて行われている。

同社は2019年、コートジボワール南西に位置し、国内第2の港を有するサンペドロにある工場を譲り受けた。この工場を元々所有していた国内最大のカカオ輸出会社は負債を抱え2018年に倒産した。工場は2023年末までに第2生産ラインを導入し、生産能力を3万トンから5万トンに拡大する予定だ。

「譲渡された工場の製品は市場で最高品質ではなかった。私たちの課題はこれを変えることだったが、なんとかやり遂げた」。工場長のマーク・トバ氏はswissinfo.chの記者に工場内を案内しながらそう語る。

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