注目ポイント
新型コロナウイルスの発生源をめぐり、米エネルギー省は新たに入手した機密情報をもとに、中国のウイルス研究所から偶発的に外部に漏れたことでパンデミックを引き起こした可能性が最も高いと結論付けた。これは、「ウイルスが自然感染により出現した」とする、これまでの公式見解を一変させるものだ。
一部の専門家は、新型コロナウイルスの遺伝子を含む現時点で得た証拠から、最初に感染拡大が起きた最も可能性の高い場所として、食品や生きた動物を扱っていた武漢の市場を特定している。
一方、バーンズ駐中国米大使は27日、コロナ感染拡大が起きた経緯について「中国がより正直になるように要求していく」と述べ、情報開示を求めていく考えを示した。米本土上空で偵察気球を飛行させたことにより「中国は世界の信頼を失った」と批判した。米商業会議所のオンラインイベントで語った。
それに対し、中国外務省の毛寧副報道局長は同日、「ウイルス起源のことを政治問題化するべきではない」と反発。記者会見で毛氏は、「研究所から漏れた可能性は極めて低いというのが、世界保健機関(WHO)と中国の調査結果だ。国際社会でも認められている」と主張した。
WHOは2021年3月、新型コロナウイルスが研究所から偶然流出した可能性は「極めて低い」との報告書をまとめた。ただし、報告書をまとめた専門家の半数を中国が任命し、その内容を大きく支配したとされる。そのため米当局は、報告書の大部分を否定している。
米国の諜報機関は、「新型コロナウイルスが生物兵器として意図的に作られたという証拠はない」としているものの、ウイルスが武漢の市場から自然に出現したか、研究所から偶然流出したのかについて議論の対象にすることは極めて当然としている。
米シンクタンク「民主主義防衛財団」の研究者で、トランプ政権で国家安全保障会議メンバーだったアンソニー・ルッジェーロ氏は、ウイルスがどのように発生したかについて、中国は依然として「重要な情報を隠している」と確信しているとし、研究所からの流出説は切り捨てるべきではないと主張。「これは当時も今も陰謀論ではない」と強調した。
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