2023-03-02 政治・国際

WHOのコロナ起源「自然感染」から一変 「中国研究所から流出」と米エネルギー省

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注目ポイント

新型コロナウイルスの発生源をめぐり、米エネルギー省は新たに入手した機密情報をもとに、中国のウイルス研究所から偶発的に外部に漏れたことでパンデミックを引き起こした可能性が最も高いと結論付けた。これは、「ウイルスが自然感染により出現した」とする、これまでの公式見解を一変させるものだ。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は2月26日、米エネルギー省の結論は、ホワイトハウスや米議会の主要議員に最近提出された報告書から明らかになったものだと伝えた。同省はウイルスが広まった経緯について、これまで判断を下していなかったが、ヘインズ国家情報長官(DNI)のオフィスがまとめた2021年の資料を改訂する中で、今回の考えを示したとしている。

WSJによると、「米連邦捜査局(FBI)はエネルギー省と同様、何らかの事故でウイルスが中国の研究所から流出した可能性があるとしている。一方で、4つの連邦政府機関や国家情報関連の諮問機関などは、ウイルスが自然界から広がったものとしている他、2つの政府機関は起源について判断を示していない」。

これについて、米紙ニューヨーク・タイムズは、同省によるブリーフィングを受けた一部政府関係者は、結論に至った機密情報は比較的「信頼性が低い」とし、確実性も高くないことを示唆したと伝えた。同省は他の情報機関と機密情報を共有したが、いずれの機関も結論を変えなかったという。

政府関係者は、機密情報の入手元を明らかにしなかったが、エネルギー省の結論は、諜報網や通信傍受などからの情報ではなく、国立の生物学研究所のネットワークから得たものから判断したものとしている。

情報当局者は、パンデミックの起源を精査することが、将来の危機に備え、世界規模の対応を改善するために重要であると考えているが、中国がさらなる調査を拒否していることから、ウイルスの発生源について答えを見つけることは、ほぼ不可能だと指摘する。専門家らもまた、世界で約700万人が犠牲になったパンデミックが、いかに始まったかを説明する責任があると主張している。

ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、機密情報についてのコメントは避けた。だが、政府が持つ「全てのツール」を用意し、パンデミックの起源を特定するよう、バイデン大統領が国立の研究所に命じていたことを強調した。

エネルギー部門に加え、FBIもまた、新型コロナウイルスは中国科学院の武漢ウイルス研究所から偶然流出したものと結論付けたが、米大統領の諮問機関である「国家情報会議」との4つの情報機関は21年10月、ウイルスが自然感染により出現した可能性が最も高いと発表した。

サリバン大統領補佐官は、見解の違いを指摘する。

「諜報機関にはそれぞれの見解がある」と同氏は今週、米CNNの報道番組「一般教書演説」で述べ、「諜報機関の多くは、十分な確かな情報を持っていないと認めている」と補足した。さらなる情報が得られれば、政府は議会と国民に報告すると説明。「しかし、現時点でこの問題について情報機関から出された決定的な答えはまだない」とした。

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