注目ポイント
台湾人女性と結婚し、長年台湾在住ライターとして活躍してきた広橋賢蔵氏がこのほど台湾で帰化申請し、晴れて『新台湾人』となった。同じような決断をした隣人たちにも興味を持ってインタビューしてみると、そこにはモラハラやDVに苦しめられた台湾人夫との離婚調停を互角に戦うために、敢えて帰化申請に踏み切ったという信じがたい事例も浮上…、驚愕の最終回だ。
「そのうち、コロナでストレスフルになった夫からのモラハラが急加速しましたわ。物を投げたり、罵倒したりで、私の方も婦女中心(相談センター)でカウンセリングを受けたり、弁護士に相談したり…。そのころから極力証拠となる音声を録音して、メッセージも保存しておくようにしてました。次女が成人になったら離婚しよかと決意してたんです」
「2022年8月に、次女がようやく行きたい大学に合格したんやけど、フツーは『頑張ったな、おめでとう』やろ?素直に喜んでやればいいのに、夫は次女が選んだ学科が気に食わんて、腹を立てて怒鳴りまくり。浪人して祖母の面倒を見ろというたうえに、学校を変えろとまでいうてた。決定的やったのは昨年末。私と次女が無断外出したと、夫が急に怒り出し、夕方帰宅したら次女の荷物が玄関の外に置かれ『半歩でも家に足を踏み入れたらお前の太ももをへし折ってやる、親不孝もの!』と言って(これも録音済)暴力を振るおうとするので、怖くなって2人で派出所に逃げて、私は怪我をしたので手当てした病院へ診断書を取り(DVは診察費用が無料だと、筆者などはこのハナシを聞いて初めて知った次第)、しばらく友人別宅でお世話になり、その後小さなアパートを借りて住んでます。次女は事件のあった数日後に自ら再度警察署に出向いて、保護令を申請しました」
その後Yさんは、弁護士に自分の離婚立案を依頼し、起訴状を夫に送付、離婚調停中の現在に至るというワケだ。

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ひと月2万元などでごまかされない
「コロナ禍の最中に申請しておいた帰化申請は2022年6月に終了。私は晴れて台湾(中華民国)籍の身分証を取れたことで、8月にアパートを借りる際も、外国人だと必要かもしれない保証人もなく契約できたし、7月に日本へ一時帰国した後、台湾入境時に隔離を体験した際は、台北市の補助金(台北に戸籍を有する者が受給資格がある)も受け取れた。日本の国籍はそのままキープしているし、台湾(中華民国)籍をとってもマイナスはなく、むしろプラス。失業しても保障があるし、国民年金も手に入ります」
「1回目の離婚調停ではリモート参加だったのに夫は欠席。代理弁護士だけが出席していて、あちらからの提案は『1か月2万元を一生支払う』だった。あほらし。もう一生つきあいたないし、ちゃんと支払いせん可能性もある。自分の母親に払ってるお手伝いさんの費用は月に6万元以上。私には2万元?とはふざけた提案やわ。夫は家も持っているし、自分の資産も十分にキープしている。株式もあれこれ隠し持っているようや。所得税申告では銀行の利子収入とか株配当もゼロにしてあるから、明らかにどっかに隠してるわ。株のやりとりはどうせ愛人の口座からやろ。持っている不動産をひとつ売却したら1000万元ほどになるやから、私はそれくらいもらってもいいはずやと思いませんか」