2023-03-03 流台湾

日本も見習うべき? おおまかな情報しか共有されない台湾花市場で、それでも取引がスムーズに進む理由

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注目ポイント

日本の花市場と違い、台灣の花市場で共有される情報はそれほど細かくはない。それでも取引で大きなトラブルが起こらないのは、仲卸と仕入れ担当者、仲卸同士の関係性が日本より濃密で、LINEを駆使した利便性が高く迅速なコミュニケーションの浸透がある。

日本の花市場の場合、相対取引やネット相対なども進んでおり、市場と花屋の仕入れ担当者はどちらも花に関する知識がないと仕入れがスムーズに進まない。例えば、バラであればどの県の誰がいつ作ったものなのか、品種は何なのか、等級や長さはいくつなのかなど、細かいことまで知る必要がある。そして、市場に積み重なる段ボールには、専用のバーコードと共にこういった情報が記載されている。

だが、台湾の花市場の場合はほとんど情報が分からず、多くのフローリストや花屋は直接市場に買い付けに行かなければならない。そこで今回は、台湾の花市場での花に関する表記や分類事情や、日本ではあまり見られない取引業者の関係性についてご紹介していく。

セリでは表記はあるものの

実は、台湾でも生産者や等級などの情報はセリに参加すれば知ることができる。セリ会場のモニターには、価格、品名、生産者の名前、等級、入荷数、販売数、残数などが表示される。だが、そもそも台湾の場合はセリに参加できる花屋はほとんどいない。一般の花屋にとっては、セリの買参権、保証金は高額であり、また1箱(数百本)単位でまるまる購入しなければならず、一般の花屋ではそれほど多くの花を捌ききれないためだ。セリに参加しているのは、大手花屋、大手イベント系会社の下請けの花屋、仲卸業者がメインとなる。

セリで表記される情報も日本ほど細かくはない。例えば、ダリアなどは世界中で2〜3万を超える品種があるが、台湾の場合は、「ピンク」「赤」といった色でしか表記されず、具体的な品種名まで書かれることはほとんどない。一応、セリ会場ではセリ人が一箱から一束をランダムに取り出し、参加者に手で見せることはあるが、それをしっかりと見ている参加者は少ない。そのため、花屋たちが事前に仕入れの要望を出しても、理想の花を手に入れるのは難しいのが現状だ。

バラなど例外的な花もある

一方で、全ての花材が品種まで表記されていないというわけではなく、バラなどの一部の花は細かく品種まで表記されている。仲卸に並ぶ際も、色ではなく品種名を値札に書いている仲卸も多い。

バラは品種によって色や形が全く異なり、細かく品種で分けなければ仲卸も花屋も取引をする時に困難であるからと思われる。例えば、ピンクのバラは、「維納斯(ヴィーナス)」「寶貝(ベイビー)」「戴安娜(ダイアナ)」などさまざまな品種が出回っており、品種にこだわりのある花屋や仲卸は、名前と色や形を認識できなければならない。ただ、台湾独自の呼び方がある品種や花材も多く、一般的な学名、品種名、花材名が通用しないこともあるので注意が必要だ。

スタンダードタイプとスプレータイプの区別

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