2023-02-22 政治・国際

バイデン氏によるウクライナ電撃訪問の衝撃 ロシアの報道番組で専門家らが怒りを爆発

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米国のバイデン米大統領が20日、ウクライナを電撃訪問したことを受け、ロシアメディアが猛烈に反発している。米リベラル系メディア「デイリー・ビースト」によると、ロシア国営テレビの報道番組で、専門家らはバイデン氏暗殺の是非まで議論したという。一方、プーチン露大統領は、ウクライナ侵攻から丸1年となる24日を前に、連邦議会で演説し、「ロシア防衛のための軍事作戦」を正当化し、継続する姿勢を強調した。

ロシア国営テレビの専門家らはここ数日、予想されるバイデン米大統領のポーランド訪問について議論したが、内戦で荒廃したウクライナへの渡航は敢えてしないと自信満々に主張していた。ところが、バイデン氏がウクライナの首都キーウを電撃訪問したというニュースに、彼らは衝撃を受け、怒りをあらわにした。

デイリー・ビーストによると、ロシア国営テレビの報道番組「60ミニッツ」の名物司会者オルガ・スカベエワ氏は苛立った様子で、「ホワイトハウスはバイデンが本当にウクライナの首都を訪れたことを発表しました。先程ゼレンスキーは写真を公開したばかりです...本物のバイデンです」とし、番組をスタートさせた。

番組はその後、微笑みを浮かべるバイデン氏がゼレンスキー氏と並んで歩き、ウクライナ当局者と握手している映像に、まるでホラー映画のような音楽をかぶせた。スタジオの反応は、その不吉な音楽が実にマッチしていたという。

ロシア国防省出身の軍事専門家エフゲニー・ブジンスキー氏は、「明らかに、西側諸国はエスカレートしている。われわれも慎重にエスカレートするべきだ」と述べた。同氏は、ロシアからバルト海経由でドイツに天然ガスを送る海底パイプライン「ノルドストリーム2」の爆破に米国が関与したと主張し、報復として大西洋、北海、ノルウェー海の海底にある米国のパイプラインを攻撃することを提案した。

すると、ブジンスキー氏の発言を遮る形で、司会者のスカベエワ氏は、「バイデンがウクライナを訪問しても、ロシアは何もしないと米国は考えているのだろうか」と疑問を投げかけた。反体制派からは〝プーチンテレビの鉄人形〟と揶揄(やゆ)されるスカベエワ氏は、〝国営テレビの特殊作戦部隊の隊員〟とも呼ばれる保守強硬派だ。

ブジンスキー氏は、「バイデンを打ち負かすことをできただろうが、それはやりすぎだろう」と答えると、スカベエワ氏は、「プーチンを脅すのはOKで、ノルドストリーム2と爆破するのも大丈夫。だけどバイデンを叩くのはやり過ぎだと言うのですか?」と返した。

ブジンスキー氏は、もしバイデン大統領の後任がロシアの利益に沿うものであれば、バイデン殺害という手段もありとしたが、米国ナンバー2のハリス米副大統領が実権を握ることは、さらに悪い選択肢になると述べた。

それに対しスカベエバ氏は、バイデン氏が「ロシア連邦を破壊し、解体することを狙っている」と主張すると、ブジンスキー氏は、米国の大統領がキエフを訪問した最初の世界的指導者ではないとした上で、ロシアは、侵攻後に外国の首脳として初めてキーウを訪れた英国のジョンソン首相(当時)を〝消す〟ことから始めるべきだったと指摘した。

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